テクノロジー

中堅エンジニアが語る インフラエンジニアの仕事内容と将来性

著者近影
KOHEI

最前線で活躍中のエンジニアに、ご自身が担当している職種の面白味や大変さなどを臨場感たっぷりに語っていただく人気企画。

第二回のテーマは「インフラエンジニア」です。

エンジニアの仕事が気になっている業界未経験の方から、インフラ以外のエンジニア経験がある方まで、多くの方の参考になったら嬉しいです。

お話を伺った人

SHOGO

2017年にALHに中途入社。官公庁の案件等に参画後新人研修を担当。現在は某金融系の案件に従事。

現在のお仕事

今は以下2つの案件を掛け持ちしています。(取材時点)

①金融系の社内サーバ(物理)更改案件

インフラのチームリーダーとして、メンバーが作成した資料のレビュー、資料作成や他チームとの連携/調整を担当。

②金融系サーバの保守支援案件

こちらは構築から携わっていた案件です。
本番稼働している環境に対して、クライアントからの問い合わせ対応、開発環境でのテスト等を担当しています。
新しく入った方に対して環境の説明や作業内容の引き継ぎも行っています。
※保守業務では設計から携わってきた人が1名、1〜2年程度残って新しく入った方に教えることがあります。

インフラエンジニアについて知る

インフラエンジニアとは

サーバーやネットワークなどシステムの基盤となるITインフラの設計や構築、保守を担うエンジニアのことです。

「縁の下の力持ち」と表現されることもあり、インフラエンジニアの存在なくしてIT技術は機能しません。

活躍できるフィールド

中小企業の社内システムから、誰もが知る大企業、さらには全国民に影響が及ぶ官公庁の案件、つまり国の案件まで幅広く携われる可能性があります。

IT基盤を扱う性質上、あらゆるITサービスでインフラエンジニアの力が必要になるからです。

また、過去に近いネットワーク製品を扱ったことがあれば、次の案件でもゼロから学び直しということは少なく、ある程度経験に汎用性があるのもインフラエンジニアの特徴です。

関わる案件は多岐に渡ります。

私が経験したもので言うと

・某銀行関係の運用保守
・某官公庁や通信業界、金融系の基盤システム更改
・某通信会社のモバイルシステム更改案件
・某金融会社のシステム更改案件

こうして書き出してみると更改案件ばかりですね。

既に構築されているインフラを1から作り直すことは、クライアントが負担する費用や工数面からなかなか発生しないので、業界的にも新規案件は少ないと思います。

休日出勤や夜勤はある?

この後、各工程を詳しく紹介しますが、構築や結合テストを担当する場合はほぼ発生しません。

どうしてもサービスがストップしている時にしか行えない作業について、休日や夜間に対応することもありますが、当社ではあまり聞きませんね。

工程が下に行くほど休日や夜間帯の業務が発生する可能性は上がっていきます。

インフラエンジニアの仕事内容(担当領域)

<上流工程>

工程1:要件定義

仕事内容:クライアントの要求をまとめる

具体的には機能要件、非機能要件、運用要件にわけて考えます。

機能要件とはクライアントから求められている機能であり必ず搭載するものです。たとえば入金があったら返信のメールがすぐに送信されるようにするなど。

一方、非機能要件は機能以外の部分の要件です。たとえばデータが壊れたときに、いつ時点の状態にまで復旧させる必要があるのか、また、復旧は何時間以内にしないといけないかなどです。

運用要件はその名の通り、運用に関する要件をまとめたものです。運用時に想定しうる負荷やコストなどをまとめます。

なお、要件定義を担当した方がそのまま基本設計に残ることはあまりない印象です。

作成した要件をもとに最適な人材を配置し、その後の工程を託して、自身はまた次の案件の要件定義に取り組むことが多いですね。

工程2:基本設計

仕事内容:要件定義をもとに、どういった設定が必要かを定める

基本設計ではエンジニア向けの資料を作成します。

要件定義で決まった内容に対して必要なCPU、メモリ、容量などのスペック面や、使用するハードウェア/ミドルウェアなどを決めていきます。

基本設計を担当した方がそのまま保守まで担当する場合と、構築~単体テスト完了後に抜ける場合の2パターンに分かれる印象です。

工程3:詳細設計

仕事内容:基本設計書をもとに細かな設定値を具体化する

基本設計で決めた内容をさらに詳細に規定していきます。

例えばバックアップの取り方に関して言うと、昨日との差分のみを記録するのか、全て記録するのかという感じです。使用する関数や変数などもここで決めます。

詳細設計を記載するシートをパラメータシートと呼びます。

パラメータシートには使用するミドルウェアの設定値を全て記載するため、極端な話パラメータシートさえあればクライアントの要望に応えるシステムを作ることができます。それくらい詳細な内容になっています。

<下流工程>

工程4:構築〜単体テスト

仕事内容:詳細設計で決定されたパラメータを実際に設定し、正確に設定されているか、予定していた機能が使えるかを確認する

機能や製品ごとに複数のチームに分かれて構築作業を行います。
この工程には研修を終えたばかりの新人エンジニアが参画することもあります。

詳細設計にて規定された通りに作業を進めていくので、経験の浅い方でも正確な作業ができれば、貢献できる工程です。

単体テストは細かく分けると二つあります。
一つは設定の確認です。パラメータシート通りに設定できているかを確認します。

もう一つは単機能テストと言って、例えばバックアックが取れるか、元の状態に戻すことができるかなど、個別の機能が意図したとおりに作動するかを確認します。

工程5:結合テスト

仕事内容:他の機能と組み合わせて予定していた機能が使えるか確認する

単体テストで確認できた各システムを組み合わせてテストします。例えばジョブ実行と連携して毎日24:00に自動でバックアップを取得するなど。

単体テストが個別の機能を点検しているのに対し、結合テストは全体のデータの流れを点検するものです。

(工程5.5):運用設計・移行設計(大体並行して作業)

仕事内容:運用する方に向けて、定例業務や障害が発生したときの対応手順書を作成する

クライアントにヒアリングしながら内容を固めていきます。
運用開始が近づいてきたので、改めて認識が揃っていることを確認する目的もあります。

なお、運用保守を行う方へのレクチャーなどはここでは行いません。

工程6:総合テスト

仕事内容:運用シナリオに則って要件定義で設定したことができるかを確認する

要件定義の通りに機能するか、実際の運用シーンを想定してテストします。

例えば丸1日運用をしてみて、それぞれの機能が動くことを確認したり、本番環境が壊れた場合に同じ機能を引き継げるサーバーに切り替えて、問題なく機能するかなども試したりします。

障害時はエンドユーザーへの影響が大きい金融系の案件では特に慎重にテストを行います。

工程7:移行(更改案件の場合)

仕事内容:現行環境から新環境で運用するための切替を行う

短期決戦になることが多い印象です。

年末年始などのサービスが停止している期間に行います。

移行作業がうまくいかなかった場合は元の状態に戻す必要があるため、例えば「31日の段階で手順3まで進んでいなかったら、今回は移行を断念して現行にもどす作業に移る」といったようにチェックポイントを決めて作業をする案件もありました。

もちろん事前の準備は入念に行います。

私が担当した案件でも移行リハーサルは2回やって、時間通りに切り替えを完了できるとわかってから臨みました。

工程8:運用・保守

仕事内容:作成したシステムが動き続けるために作業を行う

例えば毎日24:00にバックアップが動いていることを確認するのが運用なら、バックアップに失敗した場合に原因を調査し、改修を行うのが保守です。

構築と同様に運用設計で規定された通りに作業をしていくので、新人エンジニアの初めての参画先になることが多い工程です。
この工程には設計段階から参画していた方が最低1名残って、後から入った方に教えながら長期間伴走することが多い印象です。

ところで、ここまでテスト環境というワードが出てこないことに違和感を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。

インフラでは今動いている本番環境とは別に新たに本番環境をつくります。旧本番→新本番のイメージですね。開発ほどテスト環境が当たり前ではないのです。

インフラエンジニアに必要な適正

続いて、インフラエンジニアに必要だと思われる適性について、私の独断と偏見をもとにお伝えします。

「分からない」を恥ずかしがらない

IT業界は日々新しい技術が誕生し続けているため、我々エンジニアは知らないこと、分からないことと向き合う毎日を送らざるを得ません。

そのため、「分からない」ことを恥ずかしがらず、「分かる」努力をする姿勢が重要です。

知りたい欲が強い人、好奇心旺盛な人には向いていると思います。

ITテクノロジーにワクワクできる人

インフラエンジニアはその名の通り、今や日々の生活に欠かすことのできないITの基盤部分を作り、生活を支えるエンジニアです。

電子マネーも、オンラインゲームも、何気なく見ているサイトも、全てサーバーによって提供されており、そのサーバーや情報が行き交う道路を作るのがインフラエンジニアです。

インフラエンジニアの仕事を通して身につくスキル

この仕事を通して身につくスキルの一例を紹介していきます。

自分の考えを言語化する能力

分からない事が多い業界のため、自分が何を分かっていないのかを把握する必要があります。

自分が何を分かっていないのかを把握して、さらに言語化しないと、検索したり、誰かに質問することができません。つまり仕事が進まなくなります。

そのため必然的にこの力が身についてきます。

ちなみに、分からないところを突き止めるためには、1つ1つわかるところとわからないところを確認して整理していく作業が必要です。

根気強く検証する忍耐力も鍛えられていきますよ。

ロジカルシンキング

構築やテストをしていると、よくエラーが起きます。

起きたエラーに対して仮説をたてながら検証を繰り返して原因の究明を行うため、ロジカルシンキングが身につきます。

インフラエンジニアのキャリアパス

未経験者のファーストステップ

大きく分けて2つあると思っています。

①運用保守からキャリアをスタートし、インフラの仕組みや製品の使われ方を学び、その経験を活かしてインフラ上流工程の設計フェーズに挑戦する。

②構築担当としてキャリアをスタートし、製品の機能を学び、その経験や知識を活かして上流の設計フェーズに挑戦する。

私のこれまでの経験から見ると、②の方が多い印象です。

経験を積んだ方のキャリアパス

PM(プロジェクトマネージャー)

インフラエンジニアとして積み重ねてきた経験をもとに、プロジェクト全体を統括する立場であるプロジェクトマネージャーとなる道です。

クライアントとメンバーの間に立ち、決められた納期や予算を守り、プロジェクトが遅滞なく進むよう管理します。

ITコンサルタント

ITの知識やスキルを活かして企業の経営課題を解決します。

直接プロジェクトでサーバー構築やネットワーク運用をすることはありませんが、インフラエンジニアとして獲得した知識や経験は、コンサルティングを行う上で大きな武器となります。

年収帯はかなり高額になります。

セキュリティエンジニア/クラウドエンジニア/データベースエンジニアなど

特定の分野に絞って専門性を高めていく道です。

どれもニーズが高く将来性のあるキャリアと言えます。

ALHのインフラエンジニアのキャリアパス

自身の今後のキャリアのために、今どういう経験を積むべきかを上司や担当営業が一緒に考えてくれます。様々な視点から戦略的に自身のキャリアパスを考えることができるようになっています。

例えば、インフラエンジニアとしてキャリアをスタートした方がさらに技術領域を広げたり、メンバー育成や営業の経験を積んだりすることで、今後のキャリアの選択肢を大きく広げていくことができる土壌が整っています。

案件数は豊富にあるので多様な経験を積み重ねていき、他領域に関しても学べる環境が整っています。

人事制度としては、本人のキャリア志向や適正にあわせて複数のコースから選択することができるようになっています。

スペシャリストコース

技術の専門家として、エンジニアとしてのスキルを磨いていく道です。高めた技術を周囲に継承することも求められています。

プロジェクトマネジメントコース

PMやPL(プロジェクトリーダー)となって、プロジェクトを成功させるためのスキルを磨いていく道です。

自分の考えを言語化する能力が高い方が多い印象です。

PMやPLになった際はプロジェクト内でメンバーのマネジメントを行いますが、ALHのメンバーの人事評価を行うことはありません。

ピープルマネジメントコース

案件や組織を管理し、成長・拡大に貢献するスキルを磨いていく道です。

早ければ1~2年でグループ長となりメンバーを管理・育成する立場になります。

リカバリーコース

プロジェクトでのトラブルを未然に防ぐ、守りのエキスパートです。

また、ALHでは本人のやる気と力があれば、新しい分野への挑戦も応援してもらえます。

インフラの領域だけでなくアプリ領域や、営業に挑戦することも可能です。

営業の場合、クライアントが求めている技術を理解し言語化できるので、エンジニア経験は大きなアドバンテージになります。

案件数は豊富にあるので、いずれはフルスタックエンジニアを目指すことも不可能ではありません。

インフラエンジニアにおすすめの資格

<ベンダー資格>

AWS 認定資格

アマゾンのクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)が提供するAWS認定資格はAWSの普及に伴って急速に存在感を増しています。

2023年11月時点でレベル別・分野別に全12資格あります。保有していることで専門性の証明になるだけでなく、取得過程で必要な知識も身に付きます。

ALHではAWSの技術力強化に取り組んでおり、2023年11月時点でAWS認定資格取得数は600を突破しています。全12資格をコンプリートした方も9名いるため、AWSの知見は国内屈指のものだと思います。

全12資格コンプリート者には特別な評価ラインを適用。気になる方は選考時に聞いてみてください。

Azure認定資格

マイクロソフト社が提供するクラウドサービスAzureの認定資格です。

AWS同様に複数の資格があります。初級のAzure Fundamentalsからはじまり、データベース管理者向けのAzure Developer Associate、やセキュリティエンジニア向けのAzure Database Administrator Associateなど業務内容やキャリア志向に応じて目指す資格を選んでいけるようになっています。

LPIC/LinuC

どちらもLinuxに関する知識・スキルを保有していると証明できる資格です。

LPICは世界共通の資格であり、外資系企業でも評価されます。

一方でLinuCはLPI-Japanが認定を行う国内向けの資格です。その分国内でのニーズに適した内容となっているため、どちらを取得するかは就業先やキャリアプランを考慮して選ぶと良いと思います。

初めて資格勉強をしようとしたときに、LPIC/LinuCを選ぶ方も多くいますね。

CCNA/CCNP

どちらもシスコが運営する認定資格です。

インフラエンジニアの中でもネットワークエンジニアとしてのキャリアを積んでいきたいなら、挑戦して損はありません。

CCNAは初心者向け、CCNPは中級者向けとなっており、まずはCCNAから取り組むといいと思います。

国家資格

基本情報技術者試験/応用情報技術者試験

基本情報技術者試験はエンジニアを目指す人や初心者エンジニア向けの試験です。

応用技術者試験は難易度がぐっと上がり、基本情報技術者試験にはなかった記述式の問題が出ます。いずれも国家資格です。

社内でも基本情報技術者試験、応用情報技術者試験の合格報告をよく耳にしますね。

ネットワークスペシャリスト

応用情報技術者試験までは開発とインフラで分かれず汎用的な知識を問われるのですが、このネットワークスペシャリストはもう一段難易度と専門性が上がり、各分野に分かれた試験内容になります。

国家資格ということもあり、官公庁などのプロジェクトに参画する際は条件の一つになっていることもあるようです。

データスペシャリスト

ネットワークスペシャリストと同じランクに位置づけられている試験です。

学習範囲が膨大でSQL未経験の場合だと1年以上かかるかもしれません。こちらも国家資格ということもあり、官公庁などのプロジェクトに参画する際は条件の一つになっていることもあるようです。

インフラエンジニアに求められる姿勢

次代のために何ができるかを意識する

自身の技術スキル向上も必要ですが、その技術を下の世代に継承していく事が強く求められます。

自分にしかできない、自分しか知らない状態で、案件を離れたり退職したりするとノウハウが継承されません。

特にALHは比較的若い世代が多いため、経験を積んだ立場の方が後身へ知識や経験を繋ぎ、更に引き継いだエンジニアが次代のエンジニアへ継承していくという好循環が生まれると良いですね。

出来る範囲でニュースをキャッチアップする

私自身、イノベーター理論で言うところの「イノベーター」「アーリーアダプター」になろうとは思っていないものの、3番目にあたる「アーリーマジョリティー」ではいようと思っています。

情報のキャッチアップは、SNSでIT専門のニュースやアーリーアダプターのアカウントをフォローし、SNSを開けば自然と情報が入ってくるようにしています。

SIerでマネージャーをやっている方のリツイートや仕事であったことのつぶやきなどは参考にしています。周囲から遅れない程度にアンテナを貼っておく姿勢は必要だと思います。

この仕事のやりがい

このシステムに自分が関わったんだ! と思えること

例えば、駅の改札でSuicaをかざしたら自動で精算できるシステムの構築に自分が関わっていたとしたら、日々の電車の利用が少しだけ楽しく感じられませんか?

エンジニアは日々の生活に溶け込んでいるシステムに関わる仕事が出来ます。「自分の仕事がみんなの生活を便利にしてるんだな」と思える仕事だと思っています。

第二弾はインフラ事業部のグループ長SHOGOさんにお話しいただきました。

ご自身の経験や主観に基づく内容も多分に含まれていますが、だからこそ、臨場感のある生々しい内容をお届けすることができたのではないでしょうか。

引き続き「ALH's Job Discription」では、中堅~ベテランエンジニアの方々に、ご自身の職業の魅力や面白味、大変なことまで思うままに語っていただきます。

次回もお楽しみに!

この記事を書いた人

著者近影

KOHEI

ALH株式会社 採用戦略部 ブランディングチーム所属。
進学情報誌の編集者→検索サイトの編集者・ライター・ちょっとWebディレクター

リモートワークOKの環境になってから体調がとてもいい感じ。 このライターの他の記事を見る

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