ITパスポート合格 2週間の学習記録と最適な勉強法を解説
今回も資格取得に関するノウハウをお届けしていきたいと思います。
筆者の自己紹介(端的に言うと、ずっと受験・教育業界にいた元勉強の専門家です。)は過去記事をご覧ください。
先日行った資格マスター記事の取材中、「資格取得の楽しさや尊さ」について、2人があまりに良い顔をしながら語るので、私も資格を取ってみたくなってしまいました。※これまでとった資格は運転免許のみ
折角なので、下に貼ったリンクの記事で解説した理論を検証しながら、もっとも効率的な勉強法を編み出していきたいと思います!!
ITパスポートがどういう資格か知りたい方は下の目次より「改めて、ITパスポートとは」を先にご覧ください。
行った勉強内容
まずは過去問道場で100問
取材当日の夜、まずは評判の良い「 ITパスポート過去問道場」を使ってランダムに100問ほど解いてみました。
社会人経験は13年ほど、そのうちIT業界歴は2年ほど、ということである程度の前提知識はある状態で臨み、正答率は50%程度。これが開始当日の得点状況でした。
12日後に試験を受けることに
合格に必要な正答率は60%。これならそこまで苦労しないかも。
ということで、勉強開始が火曜日だったので、次の次の日曜日である12日後に試験を受けることにしました。
2~4日目 毎日過去問200問
水~金曜は毎日過去問を200問解きました。
まだ序盤なので、深い理解は目指さず、解説はざっと目を通す程度にしました。
100問あたり60~70分のペースです。
書籍を一冊だけ購入。選んだのはベストセラー本ではなく……
勉強法をレビューする上でも、1冊くらいは本を使っておきたかったので書店へ。
まずは400ページ超の分厚いベストセラー本たちを検討します。が、
審議の末、とある理由から購入は見送りました。※理由は後述
代わりに選んだのはこの本でした!
※この本を選んだ理由も後述します。
本を1周して理解が曖昧なところに付箋を貼る
勉強を開始後、初の週末を迎えました。
気分よく勉強するためにカフェに行って、「ITパスポート キーワード図鑑※以後キーワード図鑑」をまず1周一気に読みながら、わからないキーワードのページに付箋を貼っていきます。
2時間ほどかけて丁寧に行いました。
その後は200問ほど過去問道場をやって土曜日は終了。
本1周+過去問道場100~200問をルーティン化
翌日曜日からは試験前日まで「キーワード図鑑を1周+過去問道場100~200問」をルーティン化してひたすら繰り返しました。
キーワード図鑑は付箋を貼ったページはじっくり、貼っていないページは5秒/1ページ程度で復習します。厳選された164語を1つの大きな単元として、「※エビングハウスの忘却曲線」を意識し、復習サイクルを回しまくった感じです。
※参考記事:【効率よく復習するには?】エビングハウスの忘却曲線
<今回採用した復習サイクル>
×全範囲を回す
×単元ごとに回す
〇頻出キーワードを回す
試験2日前から間違えた問題を集中特訓
最後の仕上げとして過去問道場の復習機能を使って、間違えた問題を集中的に解いていきました。
このアプリは本当に素晴らしいですね。
試験当日は頭を休めながら復習
試験直前は脳の体力? を温存するためにも、考える作業が必要な問題は解きません。
ひたすら用語集を見直すなど、機械的な作業が良いでしょう。
私はもちろんキーワード図鑑を見直しました。
725点で無事合格
70分で回答を終え、その後20分かけて全問見直しました。変な選択肢を選んでいる問題があったので、しっかり修正して解答終了!
結果は725/1000で無事合格することができました。30分残して会場を退出します。
会場1階にEBISU BARがあったので、即イン。勝利の美酒に酔いしれました。
振り返り
過去問道場は基本的に毎日100~200問やりつつ、途中からキーワード図鑑もルーティンに加えただけ。非常にシンプルな学習スケジュールでした。
合格レポートはこくれくらいにして、ここからは学習方法の考察に入っていきたいと思います。
教材選びのポイント
※「合格」に重きを置いて解説していくことをまずここで宣言しておきます。
ベストセラーのテキストを使わなかった理由
弊社の社内SNSにあがっている合格体験談を見ると、最初にベストセラーのうちの一冊を買ってざっと読んでから過去問演習に入られた方が多いようです。
ではなぜそれらを使わなかったのか?
一番の理由は「滅多に出ない範囲を丁寧に扱い過ぎている印象を受けたから」です。
私の場合、先に過去問道場で500問以上解いていたので、ほぼ出ない内容や、浅い理解でも正解できる項目を必要以上に丁寧に扱っていることに気付いてしまったのです。
例えばネットワークを構成する装置では「リピータ」や「ルータ」で2ページ、「ハブ」や「ブリッジ」で1ページずつなど。
これらのキーワードは500問解いて1回出るかどうかでしたし、深い理解も求められていませんでした。
この内容を丁寧に理解するのは、合格を目的にする場合はコスパが悪い。
そして、もう一つの理由は「深く理解したい内容の解説が十分ではないから」です。
先ほどの話とは対照的に、深い理解が必要な「各プロトコルの違い」や「主キーと外部キーの違い」、「共通鍵と公開鍵の暗号方式」、「各種計算問題」などの解説がそこまで詳しく載っていないのです。
先ほどの「リピータ」や「ブリッジ」と大差ない扱いなんですよ。
出題頻度に関わらず、どちらも大事な情報だからということで等しく扱っているのかもしれません。
教科書の役割としては大事なことですが……合格を目的に使う場合はもう少し出題頻度や難易度にあわせて掲載量に傾斜を変えてほしい所。
また、勉強開始時に使う場合、400ページ超の本をじっくり読むとなると、途中で挫折する人も多そうだなあとも思ってしまいました。
余談ですが、先ほど次に受ける資格を探しに書店に行ってきました。
試しにFP3級の参考書に一通り目を通したのですが、ベストセラーがどれも400ページ超な中で、約200ページに抑えている本が1つだけありました。
もし買うならこれだと思ってしまいましたね。
出題範囲の全情報を漏れなく載せるほうがテキスト編集者としては楽なんです。
出題頻度を加味して掲載内容を削るのは勇気(あと緻密な調査)がいること。他社の半分にまとめたgakken(出版元)さんに賛辞を送りたい。
164語にしぼったキーワード図鑑を選んだ理由
ずばり、繰り返しやすいからです。
400ページ超の解説集は繰り返しにくいけど、164語ならじっくり読むページは付箋をつけてしっかり読んで、付箋なしは5~10秒で復習して1周あたり約1時間です。
過去問道場だけ繰り返すのは集中力が切れてくるので、本と交互にやることでメリハリがついてよかった。
ちなみに、この本が掲載範囲を絞っている以上、範囲外から出題されてしまう不安は残ります。
でも合格ラインは6割だし、過去問道場で全範囲回しているので、まあ大丈夫だろうと判断しました。
「受験勉強と資格試験の勉強の違い」で触れた内容について
続いて、以前の記事で触れた受験勉強との違いについて、実際に勉強してみてどう感じたかを述べていきます。
①理解して演習ではなく、演習しながら理解 について
受験勉強は学校や塾の授業で丁寧に説明を受けて理解して、そのあとに問題演習。でも資格勉強は軽く解説本を読んだらすぐに過去問演習に入るべき。という話です。
実際にやってみて、やはり「演習しながら理解」でした。
合格が目的なら、丁寧なインプットは不要でしたね。
②エビングハウスの忘却曲線は有効か
忘れないようにするために、昨日学んだ単元(範囲)を今日もやり、明日もやることで定着させるエビングハウスの忘却曲線の理論が資格試験ではあまり重要ではないらしいという話です。
毎日100問、範囲を定めずに回し続けたので、「範囲」という概念はありませんでした。過去問道場で全範囲を毎日回し続ける。
例えば、昨日「UPS」についての問題を解いたとして、今日も明日もUPSの問題には触れないかもしれませんがそれで構わない。
数日後にもう一度解いて思い出せればそれでいいし、忘れていたらあとで「間違えた問題だけを繰り返すモード」でおさらいすればいい。
一方で先述の通り、キーワード図鑑の164語を「頻出」というひとつの範囲に見立てて、その部分だけはエビングハウスを意識して繰り返しました。
これは上手くハマった作戦だったなと思っています。
③参考書やテキストを一度全ページ読む?
見出しの通り、問題提起した話です。
2~3日で流し読みできるなら読んでも良いと思います。
1~2週間かけてじっくり読むとなると挫折のリスクが出てくるので、先に申し込みまで済ませて逃げ道を断っておくことをおすすめします。
ページ数をおさえて200ページ位にまとめた本があるなら、ぜひそちらを(深い理解<合格 の場合です)。
④解説を読んでも理解できないケースはどうする?
センター試験や共通テストは満点や9割を狙う受験生も多いので、捨て範囲をつくることは滅多にありませんでした。
でも今回のテストは合格ラインが6割なので、苦手だなあと思う範囲は捨てました。
なかなか詳しい理解ができなかったのが「共通鍵と公開鍵とハイブリットの暗号方式」と、「データベースの外部キー」などでした。
この分野は浅い知識で回答できる問題もあれば、しっかり理解していないと回答できない問題もあり、これらは浅い知識までなら得点できるようにして、難問として出てきたときは捨てることにしました。
⑤まとめノートをつくるべきか?
各種プロトコルの違いや、PPM、BSC、SWOT分析など4象限型の分析手法の違いなど、混同しやすいテーマは整理してまとめたくなりましたが、「必要以上の対応になるな」と思い我慢しました。
手を動かして紙に書いたほうが記憶に残るのは間違いないのですが、そこまでせずとも、毎日「キーワード図鑑」で触れていれば試験当日までに記憶に残ると判断して、やらないことに。
過去問道場だと毎日触れられるとは限らないので、ここは「キーワード図鑑」さまさまです。
改めて、ITパスポートとは
ここで改めてITパスポートの概要にも触れておきます。この部分は今旬な生成AI「Claude3」に書いてもらいました。
ITパスポートの資格概要
ITの基礎知識を幅広く学べる入門レベルの国家資格です。コンピューターやインターネットの基本、情報セキュリティ、企業での IT 活用など、様々な分野の基礎を学びます。難しい専門知識は必要なく、日常生活で使うITの知識が中心です。社会人としてITを活用する上で役立つ知識が身につくので、IT業界に限らず、多くの企業で評価されます。独学でも十分取得可能で、IT関連の資格の中では最も取り組みやすいものの一つです。
資格の種類
国家資格
認定機関
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
受験料
5,700円(税込)
年間受験者数
約80,000人
合格率
約60%
受験方式
CBT方式
出題形式
選択式で100問。うち採点対象は92問で、残り8問は合否判定に使用せず、新問題の実験として出題されています。
試験時間
120分。終了次第退出は可能です。遅刻した場合試験時間の延長は認められませんが受けることは可能です。
有効期限
ありません。
一般的な学習時間
1~2カ月
上位資格
基本情報技術者試験と応用情報技術者試験があります。
体験記に出てくることが多い学習教材
書籍
Webツール
など。
IT業界の人間として、ITパスポートを取得するメリットは?
私はすでにIT業界に身を置いていたので、取得するメリットというより、勉強を通じて知識が身に着くことのメリットを述べたいと思います。
良かったことは「普段仕事をする中で耳馴染みのあった言葉の正しい定義を知る機会になった」ことです。
例えば「請負、準委任、派遣」の正しい意味や、受け入れ先の監督権の有無、著作権の帰属先、「HTTPS、VPN、RSS」など会議で以前から使っていたキーワードのwiki的な説明の仕方、などを新たに知ることができました。
また開発手法として「ウォーターフォール」や「アジャイル」は普段から取材中に出てくるので知っていましたが、「リバースエンジニアリング」や「スパイラルモデル」は初見でした。このように、知っているワードの関連語を知れたのも良かったです。
社内SNSに投稿された「ITパスポート」合格体験談
ALHでは、資格合格者が学習記録をパワーポイントの資料にまとめて、今後取得に取り組む方のための教材として残してくれる文化があります。
今回はパワポ資料をいくつか生成AI「Claude3」に読み込ませて、400字程度にリライトさせた「合格体験テキスト」をご紹介します。
合格者1人目
私はITパスポート試験を、資格試験の流れを掴むために受験しました。もちろんITの基礎知識や情報セキュリティ、情報モラルに関する知識を身につけたいという思いもありました。結果的に約1週間、1日3時間程度の学習で、610点というギリギリの点数での合格を果たしました。試験後、正式な結果発表まで1ヶ月待つ時間が長く感じましたが、自分に合った勉強方法とテストセンターでの試験の流れを掴むことができて良かったです。
主な教材は「栢木先生の令和5年ITパスポート教室」という参考書と「ITパスポート全問解説」というアプリです。参考書を一周した後、アプリで過去問を解きました。アプリは年度別、分野別で問題が分かれているため、模擬試験を受ける気分で勉強できました。間違えた問題の解説を読み、理解することを大切にしました。
大変だったのは、スマホアプリでの勉強に慣れることでした。youtubeやらインスタやら、他のアプリの誘惑に勝つには精神力が必要でしたが、慣れてくると隙間時間を活用できる点が良かったです。
今回は1週間という短い学習期間でしたが、次回の資格試験ではもう少し長い期間を取って挑戦したいと思います。
合格者2人目
主に使用した教材は「ITパスポート過去問道場」というウェブサイトで、無料で大量の過去問を解くことができました。参考書を一冊購入しましたが、しっくりこなかったのであまり使用しませんでした。
勉強方法としては、過去問道場で問題を解きまくることに集中しました。特に新しい年度の問題を優先的に解くようにしました。これは古い問題は出題率が低いという情報があったためです。解答する際は、ただ解くだけでなく、ちゃんと解説を読んで理解することを心がけました。また、間違えた問題はキャプチャを撮って、隙間時間に解説を見直すようにしました。
改善点としては、勉強時間を測っていなかったことが挙げられます。もし落ちた場合、勉強時間が足りないのか、勉強方法が悪かったのか判断しづらくなってしまうためです。また、お金をケチって新しい参考書を買わなかったことも反省点です。これが非効率な勉強につながった可能性があります。
合格者3人目
私はIT業界未経験かつ社会人経験も浅い状態でITパスポート試験を受験しました。ITに関する基本的な知識だけでなく、ストラテジ・マネジメントなどに関する知識も得られると考え、この資格を選びました。また、CBT方式のテストに慣れることも目的の一つでした。
使用した教材は、参考書「[令和5年版]いちばんやさしいITパスポート絶対合格の教科書+出る順問題集」と、ウェブサイト「ITパスポート過去問道場」です。平日は参考書を中心に学習し、週末にウェブサイトを用いて平成30年以降の過去問を1巡ずつ回答しました。過去問回答後は、間違った問題の分野を書き出し、苦手分野の克服に取り組みました。
学習経過としては、5月25日から6月10日までの間に5回の過去問演習を行い、正答率は38%から79%にまで上昇しました。
大変だったのは、自分の状況(案件の状況・プライベートの状況)に合った勉強方法やスキマ時間を見つけることでした。しかし、勉強期間中はできる限り同じペースで勉強に取り組むことが重要だと学びました。
初のIT系資格の受験だったので、まずは合格できたことにほっとしています。
さいごに
いかがだったでしょうか。
自分の学習記録と考察、ITパスポートの試験概要、さらに他の方の体験談とてんこもりな内容にしてみました。
今回の記事がITパスポートの学習法を検討されている方の役に立てば幸いです。