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【合格者が監修】AWS認定資格CLFとは?試験の概要と対策、合格するための勉強法も解説

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AKIHISA

AWS認定クラウドプラクティショナー(CLF)という資格をご存知でしょうか?
CLFは、AWSの基礎的な知識と理解度を証明する、エントリーレベルの認定資格です。IT以外のバックグラウンドを持つ人や、AWSのキャリアを始めたばかりの人にも最適な資格となっています。

こちらは米国の話になりますが、Lightcast社の2022年の調査によると、CLFを必要とする求人情報が前年比で84%も増加しているそうです。 AWS人材への需要の高まりを感じずにはいられませんね。
クラウドの導入が進む昨今、AWSの知識を持つ人材は、業種を問わず求められています。

そこで今回は、AWS CLFの試験概要から出題範囲、難易度、おすすめの勉強法まで、解説していきたいと思います。AWS資格の取得を目指す皆さんの参考になれば幸いです。

監修:AKIHISA

■保有資格

・応用情報技術者試験
・AWS Certified Cloud Practitioner
・AWS Certified Solutions Architect - Associate
・AWS Certified Developer - Associate
・AWS Certified SysOps Administrator - Associate
・ AWS Certified Data Engineer - Associate
・AWS Certified Solutions Architect - Professional
・AWS Certified DevOps Engineer - Professional
・AWS Certified Advanced Networking - Specialty
・AWS Certified Security - Specialty
・AWS Certified Machine Learning - Specialty
・AWS Certified Database - Specialty
・AWS Certified Data Analytics - Specialty
・AWS Certified: SAP on AWS - Specialty
・Pythonエンジニア認定基礎試験
・Pythonエンジニア認定データ分析試験
・Pythonエンジニア認定実践試験
・Oracle Certified Java Programmer, Silver SE 11
・ビジネスマネジャー検定
・G検定

製造業からIT業界未経験でALHへ入社
AWSでの開発環境整備に力を入れており、IaC(Infrastructure as Code)やCI/CDを得意としている。
現在のプロジェクトには、AWS環境でバックエンドAPIの開発・運用を行うDevOpsエンジニアとして参画中。
好きなAWSサービスはAWS CDKとAmazon Q Developer

AWS Certified Cloud Practitioner(CLF)とは?

CLFは、AWS Certified Cloud Practitionerの略称です。

この資格は、AWSクラウドの基本的な概念やサービスについての基礎を理解していることを確認するためのものです。AWSが提供する様々なサービス(ストレージやコンピューティングなど)の概要や、それらがどのように動作し、どのように使用できるのかといったことへの理解が求められます。

さらに、AWSのセキュリティの概念や、料金の計算方法などの試験範囲もあるので、対策が必要です。
この資格は、エンジニアだけでなく、AWSを使って仕事をする可能性があるすべての方、マネージャーやセールスを担当する方にも有益です。

当社(ALH)ではすでに354人(2024/7時点)の社員がCLFを取得しており、中にはエンジニア以外の職種の方も多数います。
AWSの基本的な知識があれば、あらゆる場面でのより適切な意思決定を行うことができます。また、AWSの深い部分を学びたいと考えている人にとって、この資格が第一歩となるでしょう。

(ALH_CLF取得参考ページ:https://cantabile.alhinc.jp/technology/5832/

【AWS CLF】試験の概要 

まずはCLF試験の概要から見ていきましょう。
試験時間は90分間で、65問の選択式問題が出題されます。問題はすべて4択または複数選択式で、難しい記述問題はありません。
受験料金は100USD(日本円では約15,000円)です。

以下はAWS資格を受験する際の料金表です。
昨今の為替レートの影響もあり、受験料金は以前よりも値上げ傾向にあります。

試験料金一覧

試験の種類/料金USDJPYEURAUDKRWCNY
Foundational100 USD15,000 円92 EUR150 USD131,525 KRW723 CNY
Associate150 USD20,000 円138 EUR229 USD197,287 KRW1,085 CNY
Professional300 USD40,000 円277 EUR459 USD394,575 KRW2,169 CNY
Specialty300 USD40,000 円277 EUR459 USD394,575 KRW2,169 CNY

試験は、ピアソンVUEのテストセンターで受けることも、オンラインで監督付きで受験することも可能です。
在宅でも受験できるのは嬉しいポイントですね。
自宅の静かな環境で、リラックスして試験に臨めます。1000点満点中700点が合格ラインとして明示されています。

試験は年中いつでも予約が可能です。
自分のペースで勉強を進め、準備ができた時点で受験日を決められるのも、AWS認定資格ならではの利点と言えるでしょう。

【AWS CLF】試験の出題範囲と割合 

次に、CLF試験の出題範囲を見てみましょう。大きく分けて以下の4つの領域から出題されます。※1

  1. クラウドのコンセプト(24%) - AWSの価値提案、設計原則、クラウド移行の利点など
  2. セキュリティとコンプライアンス(30%) - 責任共有モデル、セキュリティ関連サービスなど
  3. テクノロジーとサービス(34%) - コンピューティング、ネットワーク、ストレージ、データベースなど主要サービスの特徴
  4. 請求、料金、サポート(12%) - 料金モデル、請求とコスト管理ツール、サポートリソースなど

AWSの主要サービスの特徴や使い分けについては頻出のようです。
EC2やS3、VPCなど基本的なサービスは抑えておきたいですね。

 EC2は、Amazon Elastic Compute Cloud(以下、Amazon EC2)の略で、AWSが提供する「仮想サーバサービス」です。Amazon EC2を利用することで、従来のような物理サーバの構築や環境構築作業をすることなく、手軽に仮想サーバを用意することができます。

また、Amazon VPCとはAWSアカウント内に仮想ネットワークを構築できる機能で、手間やコストを省けたり、カスタマイズ性が高かったりと、多くのメリットを持っています。

それぞれのサービスがどんな機能を提供し、どういったユースケースで使われるのか、イメージを持っておくことが大切です。

また、AWSのセキュリティとコンプライアンスも重要なトピックです。
クラウドならではの責任共有モデルについても理解しておきたいところです。

クラウドのコンセプトは、AWSを使う上での基本的な考え方ですね。
クラウドのメリットや、クラウド移行の進め方など、ビジネス視点での理解が問われます。サービスの技術的な側面だけでなく、クラウドを活用する意義についても考えを深めておくとよいでしょう。

CLFの難易度。必要な知識と経験は? 

CLFは、AWSの認定資格の中では最もエントリーレベルに位置付けられています。
ソリューションアーキテクトやデベロッパー向けの資格と比べると、深い技術的知識は問われません。コードを書いたり、複雑なシステムを設計したりする必要はありません。

ただし、AWSの幅広いサービスと概念について、基本的な理解は必要です。
各サービスの概要や特徴、クラウドならではの考え方などは押さえておきたいですね。ITやクラウドの知識が全くない人には、基礎からの勉強が必要かもしれません。

とはいえ、IT業界で働いていたり、AWSを実際に触ったことがある人にとっては、比較的とっつきやすい資格だと思います。
日々の業務で少しずつ知識が付いている部分も多いはず。自信のない部分を重点的に勉強すれば、十分合格は狙えるでしょう。

ここで強調しておきたいのは、実際にAWSに触れる経験の大切さです。

そこでお勧めするのが、AWSの公式サイトにある「Hands-on for Beginners」です。こちらも実際に手を動かしながら学べますので、学習の最初のステップとしてご活用いただけます。
実際の操作を通して学ぶ姿勢を大切にしてほしいと思います。

AWS CLF試験の対策と勉強法 

 AIが推奨する学習法と弊社資格合格者がおすすめする学習法と2通りでご紹介します。

1.AIにより推奨されたプラン

〇AWS公式サイトによる学習

それでは、CLF試験の効率的な勉強法をお伝えしていきます。

まずは、AWSが提供している無料のデジタルトレーニングを受講しましょう。
AWS Cloud Practitioner Essentialsという講座があります。
6時間ほどのボリュームがありますが、試験範囲の8割はこれだけでカバーできると言われています。AWS公式の教材なので信頼性は高いです。

また、AWSのホワイトペーパーや公式ドキュメントにも目を通しておくとよいでしょう。サービス別の詳しい説明や、ベストプラクティスなどを知ることができます。

〇書籍を活用した学習

デジタルトレーニングで理解が不十分だと感じた部分は、参考書などで補っていきましょう。『AWS認定資格試験テキスト AWS認定 クラウドプラクティショナー』など、出版年が新しく、CLF試験に特化した書籍がおすすめです。

〇模擬試験で知識をアウトプット

知識が身についてきたら、AWSの模擬試験を受けてみるのもよい方法です。問題を解くことで、知識の定着度をはかれます。時間を計って模試の感覚で受験し、その結果から苦手分野を洗い出します。
間違えた問題は、しっかりと解説を読んで弱点を補強しましょう。
※以下に模擬試験を受ける方法を記載するので、ご確認ください。

  1. AWS Skill Builder にサブスクライブする    ※個人のサブスクリプションは月額29ドルから利用可能
  2. AWS Skill Builder のコースカタログにアクセスする
  3. コースカタログの [Exam Preparation] (試験準備) のトレーニングカテゴリでフィルタリングする
  4. 受けたい認定試験の公式模擬試験を選択する
  • 模擬試験では認定試験と同じ問題形式と厳密さで練習できる
  • 試験形式のスコアリングで合格か不合格かが示され、準備状況の判断に役立つ
  • 各問題の回答選択肢に関するフィードバックと、主要トピックの理解を深めるための推奨リソースも確認できる

繰り返しになりますが、実際にAWSのサービスを触ってみることも勉強法の一つ。
無料利用枠の範囲内であれば、無料でアカウントを作成し、各種サービスを試用できます。テキストで得た知識を、実際の管理画面の操作と結び付けられるはずです。

2.ALH社内で人気の学習方法

弊社の合格者が実際に使用した教材のメリット・デメリットについて詳しく解説します!

◯ 動画を活用した学習

おすすめ教材

Udemy  【CLF-C02版】これだけでOK! AWS認定クラウドプラクティショナー試験突破講座(豊富な試験問題300問付き)

オンライン学習プラットフォームのUdemyにて配信されている、ハンズオン動画と問題集がセットになった講座です。

Udemyでは不定期にセールが開催されており、安くなったタイミングでの購入がおすすめです(1,500円前後になる)

【メリット】

ハンズオン + 問題集がセットになった講座のため、コスパがいいです。

ハンズオンで実際に手を動かすことで理解できることもあるので、初学者には特にオススメです。

【デメリット】

全体通しての模擬試験が2回分なので、試験の合格を考えた時にはやや問題数が少ないです。

問題の解説は65問解いた後にあるため、まとまった時間が必要です。

また、ハンズオン動画は合計15時間以上あるため、時間に余裕がある人向けです。

◯ テキストを活用した学習

おすすめ教材

AWS認定資格試験テキスト AWS認定 クラウドプラクティショナー

【メリット】

サービスを丁寧に解説してくれるので、AWSの基本的な知識が不安な方におすすめです。

AWS CLFに特化した内容となっているため、無駄なく試験範囲を網羅できます。

【デメリット】

エンジニアの知識を前提として書いている所があるため、駆け出しエンジニアにとっては注意が必要です(例:Elastic Load Balancerの説明はロードバランサの基本について説明なしに紹介している)

また、書籍なので日が経つにつれ情報が古くなります。必ず版数が最新であることを確認して購入してください。

◯ 問題集を活用した学習

CloudLicense

AWS及びGoogle Cloud認定試験の学習ができるオンライン学習サイトです。

ベーシック、プロフェッショナルの2プランが選択でき、いずれもAWS CLFに対応しています。

プランの差は学習できる認定試験の種類です。詳細はプラン・料金比較ページをご確認ください

(料金の確認はこちら)

【メリット】

問題の難易度が実試験に近く、一問一答形式なので解説をすぐ読めます。

500問以上あるため、問題を解き解説を理解するだけで試験の合格が狙えます。

【デメリット】

ベーシックプランでも90日で4,080円なのでAWS CLFの取得のみを考えるとやや高価です。(2024/7現在)

今後他のAWS認定を取得する予定があれば、AWS CLFの段階で登録してもいいかも知れません。

CloudTech

日本最大級を謳うAWS学習プラットフォームです。

資格会員、基本会員、永久ライセンスの3プランあり、いずれもAWS CLFに対応しています。

資格会員、基本会員及び永久会員は解ける問題には差がなく、上位である基本会員及び永久会員ではAWS講義動画と会員制コミュニティ参加権が得られます。

資格会員、基本会員は有効期限が90日ですが、永久会員は買い切りです。

詳細は料金ページをご確認ください

(料金の確認はこちら)

また、フリーコース会員で会員登録すれば、AWS講義動画が38本見ることができます。

【メリット】

問題の難易度が実試験に近く、一問一答形式なので解説をすぐ読めます。

解説の図がわかりやすく、読むのが苦になりません。

基本会員以上だと、AWS講義動画やコミュニティに参加できるため、学習するために利用する媒体を1本に絞ることも可能です。

【デメリット】

基本会員でも90日で4,980円なのでAWS CLFの取得のみを考えるとやや高価です。

問題数は430問あります(2024/7現在)

Udemy 【CLF-C02版】この問題だけで合格可能!AWS 認定クラウドプラクティショナー 模擬試験問題集(6回分390問)

オンライン学習プラットフォームのUdemyにて配信されている、ハンズオン模擬試験が6回分提供されている講座です。

Udemyでは不定期にセールが開催されており、安くなったタイミングでの購入がおすすめです(1,500円前後になる)

【メリット】

基本→本番の順にレベルに合わせた模擬試験が用意されており、理解度をレベルアップさせながら問題を解くことができます。

390問あるため、問題を解き解説を理解するだけで試験の合格が狙えます。

【デメリット】

模擬試験(本番レベル③)および模擬試験(本番レベル④)に関しては、AWS CLFのレベルをやや超えており、試験範囲外の問題も出題されます。

より理解してないと解けないため、自信をつけたい方にはおすすめです。

また、問題の解説は65問解いた後にあるため、まとまった時間が必要です。

Exam Prep Official Pretest: AWS Certified Cloud Practitioner (CLF-C02 - Japanese)

AWS Skill Builder(AWS公式)により提供されている模擬試験です。

AWS Skill Builderに登録することで無料で利用することができます。

【メリット】

AWS公式が提供しているので、本番試験に最も難易度が近いです。

本番試験と同様に65問用意されています。

【デメリット】

模擬試験1回分の提供なので、これだけでは合格を目指せません。力試しで問題を受講することがおすすめです。

試験の再認定と失効について 

AWSの資格には3年間の有効期限があることをご存知ですか?
資格を維持するには、有効期限までに再認定試験に合格するか、上位資格を取得する必要があります。

失効日が近づくと、AWSから再認定の案内メールが届きます。

ですが、更新期間まで何もしないというわけにはいきません。
最新の知識を常にアップデートしていきましょう。

AWS CLFの資格取得がもたらすメリット 

最後に、AWS CLFの資格を取ることのメリットをまとめてみました。

メリット①

AWSについての基礎知識を証明できることです。
資格があれば、社内のIT部門とのコミュニケーションがスムーズになります。
クラウドについての会話に、自信を持って参加できるようになるでしょう。
また、AWSを導入する際のプロジェクトにも、積極的に関われるはずです。

メリット②

転職やキャリアアップに有利になることです。
冒頭でもお伝えしたように、AWS人材への需要は高まる一方、CLF資格は、クラウドについての基本的な知識を持っていることを証明します。それだけで、専門外の人に比べて、大きなアドバンテージになるのは間違いありません

メリット③

より専門的な上位資格へのステップになることです。
ソリューションアーキテクトやデベロッパーなど、AWSのプロフェッショナルを目指すなら、CLFから始めるのが賢明な方法だと言えます。
まずは基礎をしっかり固めることが、その後のスムーズな学習につながります。

まとめ

以上、CLFについて詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

基礎的な知識を問われるCLFは、AWS資格への入り口に最適な試験です。クラウド知識のない人でも、十分チャレンジできるレベルにあります。難易度を考えても、働きながらの勉強で合格は十分狙えるでしょう。

AWSのサービスは、これからのビジネスを支える重要な基盤です。経営層から現場の担当者まで、クラウドについての理解は、これからの時代に欠かせないスキルになっていくでしょう。CLFの取得を通じて、クラウド時代に活躍できる人材への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

実際のところ、資格取得は目標ではなく、通過点に過ぎません。
その先にあるのは、AWSを使いこなし、ビジネスの課題解決に活かしていくという、やりがいのある仕事です。CLFで基礎を学び、より専門的な分野へとステップアップしていってください。

◇記事作成時の参考サイト

(参考:AWS公式サイト - AWS 認定クラウドプラクティショナー)

(参考:AWS公式サイト - CLF 試験ガイド)※1

(参考:AWS Cloud Practitioner Essentials)

(参考:AWS 認定試験に向けた準備)

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この記事を書いた人

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AKIHISA

ALH株式会社 開発統括部所属。
趣味は料理・食べること。
ピザにビリヤニ、スープカレー、何でも作って食べちゃいます。 このライターの他の記事を見る

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