カルチャー

Gemini 4 Argon一般提供・Muse Spark Open公開|先週のAIニュースまとめ(10/12〜18)

著者近影
SAKI

先週は、大手テック企業によるAI半導体や最新モデルの発表が相次ぎました。

Microsoftの次世代AI半導体「Maia 300」を皮切りに、Metaのエージェント向けモデル「Muse Wonder」やオープンウェイトモデル「Muse Spark Open」、そしてGoogle「Gemini 4 Argon」の一般提供など、ハード・ソフト両面での大きな動きが目立っています。

国内でも、日本俳優連合が音声生成AIに関するガイドラインを策定したほか、セキュリティ企業からAIエージェントを利用したサイバー攻撃の観測結果が報告されるなど、AIの普及に伴うルール作りや課題提起にも注目が集まりました。

Microsoft、第3世代AI半導体「Maia 300」を発表。2027年から量産展開

Microsoftは10月12日(米国時間)、自社開発AIアクセラレーター「Azure Maia」の第3世代となる「Maia 300」を発表しました。

前世代の「Maia 200」はすでに本番環境で稼働しており、現在はMicrosoft Copilotの処理を担っています。

2026年末までにはGitHub CopilotやMicrosoft FoundryもMaia 200へ移行する計画で、今回発表されたMaia 300は2027年から量産体制に入り、同年からマルチギガワット規模での導入を進めることで、自社製品・サービスの主要な推論基盤としていくとのことです。

主な仕様は、8つのHBM4スタックによる毎秒18.0TBのメモリ帯域幅や、950WのTDPなど。主要なGPUベースのシステムと比較して、1メガワットあたりの生成トークン数が約40%多いとアピールしています。

出典:Microsoft to expand Azure Maia system to multi-gigawatt deployments(The Official Microsoft Blog)

Meta、エージェント向けフロンティアモデル「Muse Wonder」を公開

Metaは10月12日、エージェント用途に特化した「Muse Wonder」および「Muse Wonder Full」を公開しました。

同社はこれらを「現時点で最も高性能なモデル」と位置付けており、法律・金融・医療といった専門領域での作業や、コーディングを含む複雑なタスクを想定しているとのことです。

注目すべき機能として、会話をまたいで必要な情報を引き継ぐ「Active Memory」と、難しいタスクでも目標達成を目指しながら必要に応じてユーザーに確認を求める「Active Focus」の2つが挙げられています。

Muse Wonderは同日よりMeta Model APIとMuse Codeで利用可能となり、Muse Wonder FullはMuse Codeの加入者向けに提供されます。
なお、今回の発表時点ではベンチマークスコアや価格設定は公表されていません。

出典:Introducing Muse Wonder and Muse Wonder Full: Frontier Models for Agents(Meta Newsroom)

Google「Gemini 4 Argon」一般提供開始。使えるプランと料金

Googleは10月13日(米国時間)、最新モデル「Gemini 4 Argon」の一般提供を開始しました(翌14日には日本語版ブログでも案内されています)。これにより、Google AI ProおよびGoogle AI Ultraの加入者は、Geminiアプリ内でArgonを利用できるようになります。

また、macOS版のGeminiアプリからは、エージェント型のコーディング環境である「Google Antigravity」を直接呼び出せるとのことです。

API料金は、2026年11月30日までの導入価格が100万トークンあたり入力2ドル・出力10ドル。12月1日以降は入力4ドル・出力20ドルへと改定されます。

なお、Geminiの無料プランおよびGoogle AI Plusは提供対象外となっており、Google Workspaceでの提供時期についても現時点では未定です。

出典:Gemini 4 Argon が Gemini アプリに登場(Google Japan Blog)/Googleの新モデル「Gemini 4 Argon」一般提供開始 使えるプラン、価格(ITmedia AI+)

▼Gemini 4 Argonの発表時の内容はこちら▼

先週のAIニュースまとめ(2026年9月28日〜10月4日)

2026.10.5

Anthropic、シンガポールに拠点を開設し政府とMOUを締結

Anthropicは10月14日、シンガポールに新オフィスを開設したと発表しました。同社にとってアジア太平洋地域で5拠点目となります。

あわせて同国のデジタル開発情報省と覚書(MOU)を締結し、Singapore International Cyber Weekの場で署名式が行われました。

協力分野には、「AIの安全性・セキュリティ・モデル評価」「AI導入とその影響に関する研究」「公共・民間部門における責任ある導入」の3点が掲げられています。

また同社は、政府系技術機関GovTech Singaporeで1,500名以上の技術スタッフがClaude Codeを活用していることや、Grabの営業支援アシスタント「BriX」が四半期で約4万時間の業務削減に貢献しているといった導入実績も公表しました。

出典:Anthropic opens Singapore office and signs MOU with the Government of Singapore(Anthropic)

国内サイトへのAIエージェントによる攻撃を観測、ビットフォレストが公開

クラウド型WAF(Webアプリケーションファイアウォール)を提供するビットフォレストは10月14日、国内企業のWebサイトに対してAIエージェントを用いた攻撃を観測したと発表し、その推移を自社の技術ブログで公開しました。

観測期間は10月10日夜から14日までで、3つ以上のIPアドレスからの攻撃を確認。最も長いものでは8時間弱にわたり、10段階に手法を変化させながら毎秒約35件のペースで約1万件のスキャンを行い、その中に約250回のログイン試行が含まれていたといいます。

同社は、従来の脆弱性修正に加え、シグネチャだけに依存しないWAFによる防御策が引き続き重要であると警鐘を鳴らしています。

出典:国内WebサイトへのAIエージェント攻撃を観測 「8時間弱」続いた攻撃の推移を公開 国内セキュリティベンダー(ITmedia AI+)

Meta、8,160億パラメータのオープンウェイトモデル「Muse Spark Open」を公開。Mac Studioでローカル動作。

Metaは10月15日(現地時間)、大規模なオープンウェイトモデル「Muse Spark Open」を公開しました。

総パラメータ数は8,160億に上るものの、入力に応じて一部の専門家モジュールだけを動かすMoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用しているため、アクティブパラメータは420億に抑えられています。

また、最大100万トークンの長いコンテキストを扱えるのが特徴です。

独自の「Muse Model License」が適用され、利用・改変・ファインチューニング・蒸留・再配布が許容される一方で、製品には「Built with Muse Spark Open」と明記する義務が設けられています。

M5 Ultraを搭載したMac Studio 2台での動作に最適化されており、Appleの検証では毎秒約25トークンの生成速度を記録したとのこと。重みデータはBF16版とNVFP4版がHugging Faceで公開されています。

出典:Build with Muse Spark Open(Meta)/Muse Spark Open モデルカード(Hugging Face)/Meta、「米国製で最高性能」のオープンモデル「Muse Spark Open」発表 Apple Siliconに最適化、Mac Studio×2でローカル動作(ITmedia AI+)

Anthropic、第三者評価機関に社員相当のアクセスを提供

Anthropicは10月15日、独立した第三者評価機関に対し、自社社員と同等のアクセス権の提供を開始したと発表しました。

対象となるのは、フロンティアモデルの評価を専門とする非営利団体「METR」です。現在6名のスタッフが、社給ハードウェアやオフィス環境、社内ツールなどを付与された上で参画しています。

アクセス権限はAnthropic自身のリスク評価チームとほぼ同等ですが、顧客データや法的特権が及ぶ情報、モデルの根本的なアーキテクチャなどは対象外です。

METRは独自の判断で評価結果を公開することができ、Anthropic側に公開を拒否する権利はありません(ただし、特定カテゴリの機密情報については伏せ字化を求める規定となっています)。

この取り組みに加え、SecureBioが2026年8月版リスクレポートの「化学・生物兵器に関する章」のレビューを担当していることも明かされました。

出典:An update on independent evaluators(Anthropic)

日本俳優連合、「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を発表

協同組合日本俳優連合(日俳連)は10月15日、「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を発表しました。

このガイドラインでは、AI学習・生成・公開のどの段階であっても、音声の持ち主である実演家に利用目的を明示し、事前の許諾を得ることを必須としています。

生成された音声の利用については「実演の提供と同等」とみなし、適切な報酬の支払いを要求します。

さらに、AIを用いた多言語吹き替えを行う際は、新たな利用許諾と事業展開に応じた追加対価が必要であると規定しました。

また、すでに物故した実演家の声をAIで再現するケースにおいては、遺族または管理者からの厳格な許諾を求めています。

出典:【日本俳優連合】生成AI時代における声の権利を守り、健全な業界発展を導く「音声に関する生成AI利用ガイドライン」発表(日本俳優連合)

先週の注目トピック(一覧)

日付発表元内容
10月12日Microsoft第3世代AI半導体「Maia 300」を発表。2027年から量産展開
10月12日Metaエージェント向け「Muse Wonder」「Muse Wonder Full」を公開
10月13日Google「Gemini 4 Argon」の一般提供を開始(日本語版の案内は14日)
10月14日Anthropicシンガポールに5拠点目を開設し、デジタル開発情報省とMOUを締結
10月14日ビットフォレスト国内企業サイトへのAIエージェント攻撃を観測、8時間弱の推移を公開
10月15日Metaオープンウェイトモデル「Muse Spark Open」(総8,160億パラメータ)を公開
10月15日Anthropic評価機関METRに社員相当のアクセスを提供、結果の公開を認める
10月15日日本俳優連合「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を発表、事前許諾と適切な報酬を要求

まとめ

先週は、AI業界全体で次代を見据えた基盤整備が急加速した1週間でした。

Microsoftの「Maia 300」量産計画や、Metaの「Muse Spark Open」「Muse Wonder」、そしてGoogleの「Gemini 4 Argon」など、ハードウェアから最新モデルまで重要なリリースが集中しました。

その一方で、社会実装が進むにつれて生じる新たな課題も浮き彫りになっています。日本俳優連合が声の権利を守るための厳格なガイドラインを発表したことや、ビットフォレストがAIエージェントを用いた高度なサイバー攻撃を観測したことは、技術の進化と並行してガバナンスやセキュリティ対策の強化が急務であることを示唆しています。

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2026.10.5

この記事を書いた人

著者近影

SAKI

ALH株式会社 ブランド戦略室 グループ長。
21年新卒入社。コーポレートブランディングに関わることを上から下まで色々担当。
よく食べ、よく歌い、よく太ります。
最近ついた二つ名は食べ盛りBLUES。 このライターの他の記事を見る

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