社員インタビュー

法定雇用率超えたその先へ。新たなキャリア形成

著者近影
MOMOKO

みなさんこんにちは!

ビジネスサポート部のMOMOKOです。

前回の「障がい者採用を『CSR』から『戦力』へ〜ALHが障がい者採用を強化する理由〜」に続き、今回もビジネスサポート部のグループ長、HIROAKIさんにお話を伺いました。

今回のテーマはALHの障がい者採用における「法定雇用率達成のその先」について、育成や評価、定着率の高さに着目しながらお話していきます!

HIROAKIさんについて

2023年に中途入社。ALHビジネスサポート部発足とともにグループ長を担当。

自身も網膜色素変性症という視覚障害を抱えている。ALH入社以前は人材業界にて約8年、求人広告のライターや障がい者専門の転職エージェントなど採用に関わってきた。

登山が趣味で、一か月山に行けないと調子が出ないほどの山好きだとか…?

『法定雇用率達成』はあくまでも”スタートライン”

ービジサポを運営していく中で法定雇用率を達成するだけではなく、その先のキャリア形成を考えた育成、評価を行っているALH。会社としてその認識に至るまでの経緯はどのようなものだったのでしょうか?

当初は障がい者メンバーのマネジメントを社外に委託しており、評価制度や昇給といったものが無く、「単純に法定雇用率を意識したもの」としての障がい者採用でした。

ですが、組織規模の拡大や人的資本経営の推進に伴い、『企業が成長するための戦略的な人材採用』という認識に変わっていきました。

こうした『障がい者採用』の認識の遷移とともに自然と評価制度の必要性を問う声が社内で上がるようになり、定めましょうかという流れに。

一方で、季節ごとの不調や病状の波など、障がい特性に合わせた理解や配慮を必要としている方に対してどのようにフォローしていけるかという点は慎重に議論を重ねました。

なので、はじめはSHIFTの知識をお借りしながらビジサポ独自の評価制度を制定していきました。

ー会社全体として自然に変わっていったんですね。

数値達成と“質”を追求した採用の両立

ー改めまして、ALHの現在の障がい者採用における雇用率について実績を教えていただきたいです!

2025年6月1日時点の障がい者社員の雇用率は約2.68%です。

ー法定雇用率2.5%に対して上回っていますね!法定雇用率の数値達成を目指すためにどのような働きかけがあったのでしょうか?

採用媒体、転職エージェント、就労移行支援事業所と連携してとにかく行動量を増やし、多方面から求職者を探しました。

ー前回の記事でもお話しいただきましたが、ALHの障がい者雇用に対する考え方は「ただ数値を達成させる」ものではなかったと思うのですが、採用する上で重視していたことはありますか?

以前もお伝えしましたが、ALHにおいて障がい者採用はただ「法定雇用率達成のためのもの」ではなく「企業の成長を見据えた人材戦略」として考えています。

その考えを元に、長期雇用によるキャリア育成を前提とした採用をするということを重視しています。

なので、採用基準としてはポテンシャルも見ています。資格取得の経験がある人、大学で何か挑戦した経験がある人、チームワークで強みを発揮できそうな人など、向上心や協調性がある人は未経験でも活躍する素養がありそうだなと感じますね。

ビジネスパーソンとしての成長支援

ーALHは全社的にも「育成」に力を入れていますが、ビジサポでは障がいを持つ社員のキャリアアップのためにどのような取り組みをしていますか?

これまでは一人のメンバーが不特定多数の様々な部門からの業務を担っていました。しかし、コアキャリアを作って市場価値を高めてほしいという考えから「〇〇さんは営業事務」「〇〇さんは採用」といった専門領域ごとに業務を割り振るようにしました。

同じ領域で業務を継続的に担うことで、対象業務に対する理解度が高まりますし、違う分野の業務が多くて混乱してしまうというリスクも減ります。また、同じ領域のメンバーとチームで業務を行うことでコミュニケーションを取りやすくなり、チームビルディングに繋がっている実感があります。

ーより専門性の高い人材育成が行われることで、確実なキャリアアップを目指せるんですね。一方でビジサポの組織づくりの中で大きな壁を感じたエピソードがありましたら教えてください。

現在は社内BPO業務という形をとっており、部門の主担当者として配属されているわけではないんです。

そのため業務内容がどうしても単発的・ピンポイントになってしまい、メンバー自身が自分の担当部門に対して広い視野で認識したり、業務の経緯や背景をより細かく把握することがなかなか難しいといった課題がありました。

スキルアップの機会が停滞しないようにマネージャーから業務依頼の背景やどのように事業に関連しているのかを補足していますが、今後は各部門からの信頼を得て業務の幅を広げ、メンバーが自分の担当業務・部署に対して深く理解できる土壌を作りたいと考えています。

また、ビジサポ全体が担える分野が広がっていくうちに、マネージャーがそれぞれの業務を把握することが難しくなってきている部分もあります。

今後は社外はもちろん、ビジサポメンバーからもリーダー・マネージャー層を増やし、規模が拡大してもそれぞれの業務やチームをきめ細やかにフォローできる体制を整えていきたいです。

ービジサポ社員の「市場価値」を高めるために、特に力を入れていることはありますか?

前述の専門性強化に加えて、ビジサポでは「市場価値の高い人材」へと成長していけるよう、スキル以外の面にも注力しています。

たとえば、ExcelやPowerPointの操作といった実務的なスキル(いわゆる“ミクロなスキル”)だけでなく、物事の考え方や仕事に向き合うスタンス、そしてコミュニケーション力といった、職種が変わっても通用する“汎用的なスキル”の習得も重視するというところです。

そのため、日々の業務の割り振りやマネジメントにおいても、こうしたスキルが自然と培われるよう工夫しています。

ーそのほか、会社としてビジサポ社員と向き合うなかでどのような取り組みを行っているのでしょうか。

独自の取り組みとして「月2回面談」を導入しています。障がい特性から、自己発信を苦手とする人も多く、採用時に「定期面談の時間が欲しい」という相談を受けることがありました。ALHには元々上司と定期的に面談を行う「1on1文化」があったため、その文化を活かし「月2回」という頻度に決めて取り入れました。

また、月2回という回数は、月に一回30分の会話をするよりも月に2回15分ずつ会話をする方が関係構築しやすいという「ザイオンス効果」に基づいて設定しました。

ー元々あったALHの社風と新たな障がい者雇用の在り方とマッチしていたんですね。

こうした取り組みでコミュニケーションの中から日々の小さな変化にも気づきやすくなり、メンバーの早期フォローにも繋がっています。

固定概念にとらわれない就業体制が生み出す定着率

ー現在のビジサポ社員の定着率は一般的な企業と比べてどのような状況でしょうか?

精神障がい者の定着率は入社3か月後で69.9%、1年後で49.3%とされるなか(引用:atgp)、精神障がいの方が大半のALHビジサポは25年6月時点で84%(1年)と高い定着率となっています。

ーかなり高い定着率ですよね。ビジサポ社員の定着率を高めるためにどのようなことを行っているのでしょうか?

先ほどのお話にも繋がりますが、評価制度の導入や月2回面談、業務開拓に加え、毎朝15分のオンライン朝会の実施などがあります。

リモートワークが多い分、毎朝のオンライン朝会でメンバーと顔を合わせる時間を作り、帰属意識の醸成を目指してしています。

業務面では、「完全に手が空いてしまう」という状況を防ぎ、モチベーション維持も心掛けているところです。

また、一般的に障がい者雇用枠の社員における退職理由として最も多いのが「体調不良」と言われています。

そこで、体調によっては出社から在宅に切り替えていただいたり、障がい者支援経験のあるマネージャーがメンバーの体調についてヒアリングや改善のための情報提供をしています。

こうした取り組みが定着率の高さに繋がっていると考えています。

ー「続けやすい土壌づくり」があるんですね。勤務形態もビジサポならではのスタイルがあるのでしょうか?

多くのメンバーが週3~4日の在宅勤務となっています。

週30時間の時短勤務から徐々に勤務時間を延ばす、どうしても通勤が難しい場合は在宅に切り替えられる…など、柔軟性の高い勤怠システムです。

特性に合わせて勤務を調整し、少しずつステップアップしていける環境があります。

ーこれらのストレッチが効いた就業形態は大塚さん発信なのでしょうか?

そうですね!

時短勤務については以前から柔軟でしたが、在宅勤務や在宅切り替えについては新しい取り組みで、それまではフル出社が基本でした。

「電車に乗って通勤するのは体調的に厳しいが、在宅環境であれば滞りなく業務ができる」という状況ならば在宅勤務や在宅切り替えも選択肢に入れてみてはと思い、人事部長へ打診しました。一方で出社日数というのは会社の指示で簡単に変えられるものではないので、都度上層部と相談しながら導入という流れでした。

柔軟性を大切にするALHのカルチャーだからこそ、このような仕組みや考え方もスムーズに導入できたのかなと思います。

努力を見逃さない、公平な評価制度の在り方

ー特性を考慮しながらより公平な評価を行うためにどのような工夫をされていますか?

まず、採用時や面談で聞いた本人の希望、特性に合った業務を割り当てます。加えて、無理のない納期調整や事前のマニュアル共有などの業務サポートを行うことで、業務の前段階で負担を軽減するようにしています。

また、評価制度を運用していく上では本人の担当業務への理解度を高めていくことも重要な観点になるので、そういう意味でもマニュアルの準備が大切です。

ービジサポ社員の業務成績に対するフィードバックを行う際に大切にしているポイントはありますか?

特性に対する最低限の考慮はしていますが、あくまでも一人のビジネスパーソンとして障害の有無に関係なく公平にフィードバックすることを大切にしています。成果はもちろん正当に評価しますし、課題点は率直に課題と伝え、具体的な改善策を考えるように伝えています。

また、社会人経験が浅いメンバーもいるので、目標の立て方や、振り返り方、アプローチの仕方をフィードバックすることも多いですね。フィードバックを通じて担当業務への理解度はもちろん、自分の特性、体調、スキルを客観視できる力も磨いていただくことを意識しています。

ー特性の変化や進行に対して、サポート体制をどのように調整されていますか?長期的な視点での配慮や工夫についてお聞かせください。

定期的に配慮事項について確認するほか、障がい者手帳の等級や服薬状況が変わったときにも可能な範囲でヒアリングを実施し、メンバーの体調を把握するようにしています。

基本的にはご自身で報告してもらい、それに合わせて業務調整を行うようにしていますが、自覚しにくいメンタル面の変化や、集中力や勤怠の乱れなどのサインについてはマネージャーから声掛けし、休養や業務調整の提案をするようにしています。

ー自分の特性にもしっかり向き合いながら、一人のビジネスパーソンとして成長していけるというのは安心感がありますね。

柔軟な勤務体制や、特性に合わせた業務調整が、特に精神疾患を持つ方に起こりやすい体調の波にも適応していけているのかなと思います。

メンバーの状態を見守りつつ、長期的に安心して働ける環境づくりを心がけています。

ビジサポで輝きを広げるメンバーの存在

ービジサポ社員がビジネスパーソンとして大きく成長した例、大きな実績を残した例がありましたら教えていただけますか?

入社当初は他の拠点で軽作業に携わっていたメンバーが、ExcelやGASなどの専門的スキルを身につけ、現在は目黒オフィスで複雑な採用数値の集計や業務の進捗管理、運用方法の検討など、時にはリーダー的な役割を担ってくださったりと、キャリアを伸ばし続けています。

メンバーがこうした成長を遂げていくことはマネージャーとしてはとても嬉しいことですし、そうしたメンバーがしっかりと評価される環境を作っていきたいと改めて強く感じます。

ー障がい者雇用枠として入社した社員がどのようにしてキャリアを発展させていけるのか。現段階で目標としている「正社員登用」の基準として考えていることはありますか?

正社員登用の前提として、まずは安定してフルタイム勤務できる見込みがあることを重要視しています。(季節の変わり目などの多少の体調不良は考慮します)。その上で、仲間への思いやりや、課題に向き合うスタンスなどのカルチャーフィット、責任感や会社視点を持って業務にあたっているかといった点も見ています。

また、自身の体調・障がい特性を把握できているかといった点も重要視しています。

障がい者雇用の未来、そして自らのキャリアを描く人たちへ

ー今後のビジサポとしての目標や構想を教えてください。

新たな業務の開拓や、採用・育成による組織体制の強化を通じて、いっそう利益に貢献できる組織にしていきたいと考えています。

その一環として、メンバーの正社員登用や昇格、昇給も積極的に推進していきたいです。

既存メンバーからマネジメントやリーダーへスキルアップをする人も増やしたいですし、社内BPOだけではなく各部署に主担当者として配属されたり、キャリアアップの選択肢を増やしていけたらと思っています。

一人ひとりの強みや希望に応じて、可能性を最大限に引き出せる環境づくりを進めていきます。

ー最後に障がい者雇用市場におけるALH独自の考え方、強みはどこにあると感じていますか?また、社会進出やキャリアアップを目指してALH・ビジサポへ入社を検討されている方にメッセージをぜひお願いいたします。

強みは大きく2つあると考えています。

1つ目はALHとして、ビジサポメンバーの自立を促すスタンスであり、それ故に成長できるということです。

2つ目は、ALHという会社としてもビジサポという組織としてもまだまだ拡大している最中なので、その分新たなポジションも生まれ、キャリアの選択肢が広がる可能性が高いということです。

安定就業はもちろん大切ですが、自身の成長やキャリアアップもどんどんしていきたいという人にはぴったりだと思います。

自分の将来像がある人、キャリアアップしたい人、ステップアップしたい人におすすめです!


今回はビジネスサポート部のグループ長・HIROAKIさんに、ALHの障がい者雇用における定着率向上を目指した環境づくりや、評価の考え方についてお話ししました。

現状の法定雇用率を考慮するだけでなく、持続可能性や本質的な「やりがい」の見つけ方にALHらしい柔軟性と、HIROAKIさんの働きかけによる最先端のアップデートを感じました。

今後もビジサポで実際に働くメンバーの声や、オフィスでの多様性への取り組みなど、幅広くお届けしていきます!

ぜひ、次回の発信もお楽しみに!

この記事を書いた人

著者近影

MOMOKO

ALH株式会社 ビジネスサポート部所属、ブランド戦略室専任。
25年2月に入社しました。車椅子ユーザーです。
絵を描くこと、ライブやフェスに行くことが趣味です!
最近は美術館巡りにもハマっています! このライターの他の記事を見る

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