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AWS S3 ストレージクラス8種はどう選ぶ?料金で損しない使い分けを現役エンジニアが解説

著者近影
KANADE

AWSでシステムを構築していると、データの保存先として必ずと言っていいほど登場するのが「Amazon S3(AWS S3)」というサービスです。クラウドストレージの代表格として多くのシステムで使われていますが、いざ使おうとすると多くの方がつまずくのが「ストレージクラスが8種類もあって、どれを選べばいいのか分からない」「気づいたら料金が想定より高くなっていた」という2点です。

実はこの2つ、選び方のコツと料金の仕組みさえ押さえれば、コストを大きく抑えながら安全に使えるようになります。逆にここを知らないまま使うと、無駄なコストを払い続けたり、思わぬ高額請求につながったりすることも少なくありません。
本記事では、AWS S3の基礎をおさえたうえで、8種のストレージクラスをどう使い分けるか、料金で損しないためにどこに注意すべきかを、AWSエンジニアとして実際にS3を使ってきた経験を交えながら解説していきます。S3の概要だけでなく「現場でどう判断するか」まで持ち帰っていただける内容です!

なお、Amazon S3は2026年3月で提供開始からちょうど20周年を迎えた、まさにAWSの「顔」とも言える長寿サービスでもあります。

監修:KANADE
■保有資格
AWS Certified Cloud Practitioner / AWS Certified AI Practitioner / AWS Certified Solutions Architect - Associate / AWS Certified Developer - Associate / AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate / AWS Certified SysOps Administrator - Associate / AWS Certified Data Engineer - Associate / AWS Certified DevOps Engineer - Professional / AWS Certified Solutions Architect - Professional / AWS Certified Security - Specialty / AWS Certified Database - Specialty / AWS Certified Data Analytics - Specialty / AWS Certified Machine Learning - Specialty / AWS Certified SAP on AWS - Specialty / AWS Certified Advanced Networking - Specialty / AWS Authorized Instructors

食品業界からIT業界未経験でALHへ入社。AWS環境上で稼働するシステムインフラの設計から運用保守を担当。

運営元:ALH株式会社
ALH株式会社は、AWSパートナーネットワーク(APN)において、以下の認定を取得しているAWSパートナー企業です。

◆ AWS 1000 APN Certification Distinction
AWS認定資格の取得数が1,000件を超えたパートナーに与えられる認定
◆ AWS Training Partner
AWS公認の研修トレーニングを提供できるパートナー認定
◆ AWS Select Tier Services Partner
AWSサービスの構築・運用において一定の実績を持つパートナー認定

1. AWS S3とは?【まずは結論】

AWS S3(アマゾン ウェブ サービス エススリー)とは、一言でいうと「インターネット経由で、容量を気にせずデータを保存・取得できるAWSのクラウドストレージ」です。

私たちが普段パソコンでファイルをフォルダに保存するのと同じように、Amazon S3にはあらゆる種類のデータ(画像・動画・ドキュメント・ログ・バックアップなど)を保存できます。しかもインターネット経由なので、世界中のどこからでもアクセスが可能です。容量は事実上無制限で、サーバーやディスクを自分で用意・管理する必要は一切ありません。

データを保存する保管庫のことをバケット(Bucket)、その中に入れる個々のデータをオブジェクト(Object)と呼びます。この2つはS3で最も基本となる用語なので、まずはここだけ押さえればOKです!

1-1. 「S3」の読み方・名前の由来は?

「S3」は「エススリー」と読みます。正式名称である Simple Storage Service の頭文字「S」が3つ並ぶことに由来します(Sが3つでS3、というわけです)。シンプルな名前のとおり、「とにかく手軽にデータを置いておける場所」と覚えておくと分かりやすいでしょう。

項目内容
サービス名Amazon S3(エススリー)
種類オブジェクトストレージ(クラウドストレージ)
ひとことで言うと容量無制限でデータを保存・取得できるサービス
料金の特徴使った分だけの従量課金(無料枠あり)
よく使われる場面バックアップ、静的サイト配信、データ分析基盤、画像/動画保存など

この表が「なるほど」と思えれば、S3の全体像はもう掴めています。ここから先は、それぞれを詳しく見ていきましょう。

このAWS S3が何をしてくれるサービスなのか、専門用語が分からない、といった疑問を解消することがこの記事のゴールです!

1-1. オブジェクトストレージとは?(ブロック/ファイルとの違い)

Amazon S3を理解するうえで欠かせないのが「オブジェクトストレージ」という考え方です。

ストレージ(データの保存方式)には、大きく分けて3つの種類があります。Amazon S3はこのうち「オブジェクトストレージ」に分類されます。

ストレージ方式特徴代表的なAWSサービス
オブジェクトストレージデータを「オブジェクト」という単位で、フラット(階層なし)に保存。固有のIDで管理し、大容量・非構造データに強いAmazon S3
ブロックストレージデータを細かいブロックに分割して保存。OSやデータベースなど高速処理が必要な用途向けAmazon EBS
ファイルストレージフォルダ/ファイルの階層構造で保存。複数サーバーからの共有に向くAmazon EFS

普段使っているパソコンのフォルダは「ファイルストレージ」の考え方に近いものです。一方、Amazon S3の「オブジェクトストレージ」は、フォルダのような階層構造を持たず、ひとつひとつのデータ(オブジェクト)に固有のIDを割り当てて、巨大な保管庫の中にフラットに格納していくイメージです。

この仕組みのおかげで、Amazon S3は容量無制限かつ膨大な数のデータを効率よく扱えるようになっています。

なお、「データを入れる保管庫」のことをS3ではバケット(Bucket)、「保管庫に入れる個々のデータ」のことをオブジェクト(Object)と呼びます。この2つはS3を理解するうえで最も基本となる用語なので、ぜひ覚えておきましょう。

2. AWS S3の3つの特徴

Amazon S3がこれほど多くの企業に選ばれているのには理由があります。ここでは代表的な3つの特徴を、具体的な数値とともに見ていきましょう。これらの数値は、AWS認定資格(Cloud PractitionerやSolutions Architect - Associate)の試験でも頻出のポイントです。

2-1. 桁外れの耐久性(イレブンナイン)

耐久性とは「保存したデータを失わない度合い」のことです。Amazon S3はすべてのストレージクラスにおいて、99.999999999%という耐久性を実現するように設計されています。

9が11個並ぶことから、これは通称イレブンナイン(11 9s)と呼ばれます。

数字だけ見てもピンとこないかもしれませんが、これは「1,000万個のオブジェクトを保存した場合に、1個のオブジェクトが失われるまで約1万年かかる」という途方もない水準です。データ消失のリスクをほぼ気にせず預けられる、と考えてよいでしょう。

2-2. 高い可用性

可用性とは「システムが停止せず使い続けられる度合い」のことです。標準クラスであるS3標準(S3 Standard)は、99.99%の可用性を提供するように設計されています(可用性はストレージクラスによって異なります)。

S3はデータを地理的に離れた最低3つのアベイラビリティーゾーン(AZ)に自動で複製して保存しているため、ひとつのデータセンターに障害が発生してもサービスを継続できる仕組みになっています。

2-3. 圧倒的な低コストとスケーラビリティ

S3は容量無制限で、事前にストレージ容量を確保しておく必要がありません(1オブジェクトあたり最大50TBまで保存可能。2025年12月に5TBから10倍へ拡大されました。なお単一PUTでアップロードできるのは5GBまでで、100MBを超えるオブジェクトはマルチパートアップロードが推奨されています)。使った分だけ支払う従量課金制で、最低料金もありません。

20年間で利用規模がどれだけ拡大したかを示すデータを見てみましょう。

項目提供開始時(2006年)現在(2026年)
保存オブジェクト数500兆個超
処理リクエスト毎秒2億回超
最大オブジェクトサイズ5GB50TB
1GBあたりの保存単価約15セント約2セント(約85%値下げ)

出典:Amazon S3 の 20 年を振り返り、未来を築く
このように、Amazon S3は20年をかけて「安く・壊れにくく・無限に置ける」ストレージへと進化を続けてきたのです。

3. AWS S3のストレージクラス8種を比較

Amazon S3を理解するうえで、最初の「壁」になりやすいのがストレージクラスです。

ストレージクラスとは、ひとことで言えば「データの保存タイプ(プラン)」のこと。データへのアクセス頻度や取り出し速度の要件に応じて最適なクラスを選ぶことで、コストを大きく抑えられます。

主要な8つのストレージクラスを比較表にまとめました。

ストレージクラス取り出し速度想定ユースケース保存単価(東京リージョン目安)
S3 標準ミリ秒アクセス頻度の高いデータ全般約0.025USD/GB
S3 Express One Zone1桁ミリ秒(最速)超低レイテンシが必要なデータ標準よりGETリクエスト最大85%減
S3 Intelligent-Tieringミリ秒アクセス頻度が読めないデータアクセスに応じ自動最適化
S3 標準-IAミリ秒低頻度アクセスだが即時取得が必要約0.0138USD/GB
S3 1ゾーン-IAミリ秒重要度の低い低頻度データ約0.011USD/GB
S3 Glacier Instant Retrievalミリ秒ほぼアクセスしないが即時取得が必要標準-IAより最大68%安
S3 Glacier Flexible Retrieval数分〜12時間バックアップ・災害対策さらに低コスト
S3 Glacier Deep Archive12〜48時間長期アーカイブ(最安)最も安価(約0.002USD/GB)

※Glacier系には最低保存期間(Flexible/Deep Archiveは90日など)が設定されているクラスがあります。料金は変動するため、必ずAWS公式の料金ページで最新値をご確認ください。

特に近年追加されたS3 Express One Zoneは、データアクセス速度がS3標準の最大10倍速く、リクエストコストも安い(2025年4月の値下げでGETリクエスト85%・PUTリクエスト55%削減)、最も低レイテンシなクラスです。またS3 Intelligent-Tieringは、アクセスパターンを自動で監視し、5つのアクセス階層(自動の「Frequent / Infrequent / Archive Instant」+オプトインの「Archive / Deep Archive」)間でデータを移動させてコストを自動最適化してくれる便利なクラスです。

3-1. ストレージクラスの選び方(3つの質問で決まる)

ここが本記事の最重要パートです。「クラスが多すぎて、どれを選べばいいか分からない」という方のために、次の3つの質問に順番に答えるだけで、最適なクラスにたどり着ける指針を用意しました。

Q1.ミリ秒単位の即時アクセスが必要? → No(数時間待てる)なら Glacier Flexible Retrieval / Deep Archive(長期保存ほどDeep Archive)


Q2.アクセス頻度は高い? → 高い&超低遅延が必要なら S3 Express One Zone、通常は S3 標準


Q3.アクセス頻度が読めない・バラバラ?S3 Intelligent-Tiering に任せて自動最適化

迷ったらまずS3標準、コストを最適化したいが手間はかけたくないならIntelligent-Tieringを選ぶ、と覚えておけば大きな失敗はありません。

以下にフロー図にしてみたので参考にしてみてください

3-2. ユースケース別・おすすめクラス早見表

実際の開発現場では、「データの性質」からクラスを逆算して選ぶことがほとんどです。よくあるケースごとに、私が普段おすすめしている選び方をまとめました。

こんなデータおすすめクラス理由
Webサイトの画像・現在進行中のデータS3 標準頻繁にアクセスされるため、取り出しコストの安い標準が最適
アクセス頻度が予測できない新規サービスのデータIntelligent-Tiering手動管理せず自動でコスト最適化。判断に迷ったらこれ
30日経過したログ・あまり見ないが残すデータ標準-IA保存単価が安く、必要なときは即時取り出せる
法令で数年保管が必要な書類・バックアップGlacier Deep Archive最安。取り出しに時間はかかるが「保管が目的」なら最適

3-3. 【経験談】クラス選びでありがちな失敗

AWSエンジニアとして実際にS3を運用してきた経験から、ストレージクラス選びでよくあるつまずきを2つ紹介します。

ひとつは、「とにかく安いから」とGlacier系を選んでしまうケースです。Glacier Flexible RetrievalやDeep Archiveは保存単価こそ最安ですが、データの取り出しに時間と別途料金がかかり、最低保存期間(90日など)の縛りもあります。「頻繁に見るデータ」をGlacierに置くと、かえって取り出しコストがかさんで割高になることがあります。安さだけで選ばないのが鉄則です。

もうひとつは、アクセス頻度が読めないデータを標準クラスに置きっぱなしにするケースです。「とりあえず標準でいいか」と全データを標準に置くと、ほとんどアクセスされないデータにも高い保存料金を払い続けることになります。こういうときこそ、後述するライフサイクルポリシーや、自動で最適化してくれるIntelligent-Tieringの出番です。

迷ったときの結論はシンプルで、「アクセス頻度が読めるなら標準/IA/Glacierを使い分け、読めないならIntelligent-Tieringに任せる」。これだけ覚えておけば、大きく損をすることはありません。

4. AWS S3の料金体系と無料

S3の料金体系がよく分からない」「気づいたら請求が高くなっていた」というのは、Amazon S3を使い始めた方が最もつまずきやすいポイントです。

※本章の料金はAWS公式サイト(2026年7月時点・東京リージョン)の情報に基づきます。料金は改定される場合があるため、利用前には必ずAWS S3公式料金ページで最新情報をご確認ください。

S3の料金は単純に「保存した容量」だけで決まるわけではありません。AWS公式によると、料金は次の6つの要素で構成されています。

料金要素内容ポイント
① ストレージ保存量保存しているデータ量(GB単位/月)最も基本的な課金。多く使うほど単価が下がる
② リクエスト数PUT/GET など操作の回数操作の種類で単価が異なる。DELETEは無料
③ データ転送S3からインターネットへの送信量S3への受信(アップロード)は無料。送信が課金対象
④ 管理・分析機能ストレージ分析やインベントリ等有効にした機能分だけ追加
⑤ レプリケーション別リージョン等へのデータ複製複製した分のストレージ・転送が発生
⑥ S3 Object Lambda取得データの加工処理利用した場合のみ

4-1. 見落としがちな「データ転送(アウト)」に注意

請求が想定外に膨らむ最大の原因が、③のデータ転送(アウト)です。

繰り返しになりますが、インターネットからS3へのアップロード(インバウンド)は無料です。一方で、S3からインターネットへの送信(アウトバウンド)には料金がかかります

たとえば東京リージョンでは、毎月最初の100GBまでは無料ですが、それを超えると次の10TBが約0.114USD/GB といった形で課金されます。「保存はほとんどしていないのに請求が高い」という場合、このダウンロード(配信)量が原因になっているケースがほとんどです。動画や画像を大量に配信するサービスでは、後述するCloudFrontとの組み合わせが効果的です。

実際、現場で「S3の請求が急に跳ね上がった」という相談を受けると、その多くがこのデータ転送(アウト)に起因しています。たとえば「アクセスが急増したWebサービスで、画像をS3から直接配信していた」「ログを別リージョンに大量に転送していた」といったケースです。保存しているデータ量そのものは小さくても、配信・転送が増えれば請求は膨らみます。S3のコストは『保存量』より『出ていくデータ量』で大きく変わると、最初に意識しておくと損をしにくいです。

4-2. 無料枠を活用すれば、小規模なら数百円程度から

AWSの無料利用枠は、アカウントを作成した時期によって内容が異なる点に注意が必要です。2025年7月15日以降に作成した新規アカウントは、サインアップ時に無料プラン(6ヶ月間)か有料プランを選べる、最大200USD分のクレジット制に変わりました。クレジットは対象のAWSサービス(S3含む)に充当でき、アカウント作成から12ヶ月以内に使い切る形です。一方、2025年7月15日より前に作成したアカウントは、従来の「12ヶ月間の無料枠」が適用されます(毎月の目安は以下のとおり)。

  • S3標準ストレージ:5GB
  • GETリクエスト:20,000回/月
  • PUTリクエスト:2,000回/月(ほかにデータ送信100GB/月)

いずれの制度でも、S3は最低料金がなく「使った分だけ」の従量課金です。学習や小規模な検証であれば無料枠やクレジットの範囲内に収まることも多く、超えても月数百円程度から始められるイメージです。保存するデータ量・アクセス頻度・配信量によって料金は変わるため、本格利用の前には実際の利用条件で試算しておくと安心です。「思ったより手頃に始められる」と感じていただけるのではないでしょうか。

※料金は変動します。正確な見積りはAWS公式の「AWS Pricing Calculator」での試算をおすすめします(2026年7月時点)。

4-3. S3の費用を抑える4つのポイント

S3のコストは、ちょっとした工夫で大きく削減できます。代表的な4つの方法を紹介します。

  1. ライフサイクルポリシーの設定
    一定期間アクセスのないデータを、自動で安価なクラス(Glacierなど)へ移行・削除する
  2. S3 Intelligent-Tieringの活用
    アクセス頻度に応じて自動でコスト最適化する
  3. 不要なデータ・古いバージョンの定期削除
    バージョニングで溜まった旧バージョンは見落としがちなコスト要因
  4. CloudFrontとの組み合わせ
    配信をCDN(CloudFront)経由にすることで、S3からの転送量を抑える

実際にAWSは、Intelligent-Tieringの活用によって顧客全体で累計60億ドル以上のストレージコスト削減につながったと公表しています。

5. AWS S3の使い方(バケット作成からアップロードまで)

ここからは、実際にAmazon S3を使う基本的な流れを見ていきましょう。操作はすべてWebブラウザ上のAWSマネジメントコンソールから行えます。大きく3ステップです。

5-1. ステップ1:バケットを作成する

まずはデータの保管庫であるバケットを作成します。

①AWSマネジメントコンソールにログインし、「S3」を開く

②「バケットを作成」を選択する

③バケット名とリージョンを指定して作成する

バケット名には、全世界で重複しない一意の名前(3〜63文字)を付ける必要がある点に注意してください。すでに他の誰かが使っている名前は付けられません。

5-2. ステップ2:オブジェクト(データ)をアップロードする

バケットを作成したら、その中にファイル(オブジェクト)をアップロードします。

①作成したバケットを開く

②「アップロード」からファイルやフォルダを選択する

③アップロードを実行する

これだけで、データがAmazon S3上に保存されます。フォルダのような区切り(プレフィックス)を作って整理することも可能です。

5-3. ステップ3:アクセス権限を設定する(最重要)

S3を使ううえで最も注意すべきなのがアクセス権限の設定です。

Amazon S3では、作成したバケットとオブジェクトはデフォルトで非公開になっています。これは、意図しない情報漏えいを防ぐための安全側の初期設定です。

過去には、この設定を誤って「全公開」にしてしまい、機密データが外部から閲覧可能になる事故が数多く発生しています。「ブロックパブリックアクセス」設定は、明確な理由がない限り有効のままにしておくのがS3を安全に使う鉄則です。この考え方はセキュリティ系のAWS資格でも重視されます。

5-4. コンソール以外の操作(CLI・API)

マネジメントコンソール以外にも、AWS CLI(コマンドライン)や各種プログラミング言語のSDK(API)からS3を操作できます。CLIでよく使う代表的なコマンドを挙げておきます。

コマンド用途
aws s3 lsバケット/オブジェクトの一覧表示aws s3 ls s3://バケット名
aws s3 cpファイルのコピー(アップロード/ダウンロード)aws s3 cp ./file.txt s3://バケット名/
aws s3 syncディレクトリ単位の同期aws s3 sync ./dir s3://バケット名/

CI/CDパイプラインや定期バックアップなど、自動化したい場面ではCLI・SDKでの操作が活躍します。

6. AWS S3の活用事例と最新動向

「資格は取ったけれど、S3を実務でどう使えばいいのか」悩みを抱える方に向けて、IT企業や開発現場での代表的な活用シーンを4つ紹介します。

6-1. 静的Webサイトのホスティング

HTML・CSS・画像などで構成される静的なWebサイトは、Webサーバーを立てずにS3だけで公開できます。サーバーの運用・保守が不要で、低コストかつ高い可用性でサイトを配信できるのが魅力です。CloudFront(CDN)と組み合わせれば、表示の高速化とコスト最適化を同時に実現できます。

6-2. システムのバックアップ・アーカイブ

基幹システムやデータベースのバックアップ先として、S3は定番の選択肢です。長期保存が必要なデータはGlacier Deep Archiveへ自動移行することで、コストを大幅に抑えられます。S3オブジェクトロック(WORM:書き込み一度・読み取り複数)を使えば、データの改ざんや誤削除を防げるため、ランサムウェア対策やコンプライアンス要件にも対応できます。

6-3. データ分析基盤(データレイク)

S3は、構造化・非構造化を問わずあらゆるデータを一元的に蓄積するデータレイクの基盤として広く使われています。AthenaやRedshift、各種分析・機械学習サービスと連携することで、蓄積したデータをそのまま分析に活用できます。

6-4. アプリの画像・動画配信

Webアプリやモバイルアプリがアップロードするユーザーのプロフィール画像・投稿動画などの保存先としても最適です。前述のとおり、配信量が多い場合はCloudFront経由にすることで転送コストを抑えられます。

6-5. 【最新動向】Amazon S3 Files でファイルシステムとして使える

2026年4月、Amazon S3に大きな進化がありました。新機能「Amazon S3 Files」の登場です。

これまでS3は、LinuxやWindowsで一般的な「ファイルシステム」としては直接マウントできない点が課題でした。S3 Filesは、AWSのファイルストレージであるAmazon EFSをベースに、ファイルシステム経由の操作をS3へのリクエストに変換することで、S3バケットを通常のファイルシステムのようにマウントして利用できるようにした機能です。

リードのスループットは最大で毎秒数テラバイト、レイテンシはミリ秒単位を実現しており、数千のクライアントから共有ファイルシステムとして利用することも可能です。S3の経済性を保ちながら、ファイルサーバー的な使い方ができるようになったことで、活用の幅はさらに広がっています。

7. AWS S3に関するよくある質問(FAQ)

Q1. AWS S3は初心者でも使えますか?

はい。サーバーやディスクの構築・管理が不要なため、インフラの知識が浅い方でも比較的始めやすいサービスです。無料利用枠の範囲内で試せるので、まずはバケットを作ってファイルをアップロードしてみることをおすすめします。

Q2. S3のデータが外部に公開されてしまうことはありませんか?

バケットとオブジェクトはデフォルトで非公開(プライベート)に設定されており、「ブロックパブリックアクセス」も初期状態で有効です。この設定を意図的に解除しない限り、外部に公開されることはありません。明確な理由がない限り、ブロックパブリックアクセスは有効のままにしておきましょう。

Q3. 結局、どのストレージクラスを選べばいいですか?

「アクセス頻度が読めるかどうか」で判断するのが基本です。頻度がはっきりしているなら標準・標準-IA・Glacierを使い分け、読めないならIntelligent-Tieringに任せて自動最適化するのがおすすめです。詳しい選び方と現場でありがちな失敗は本文「3. ストレージクラスの選び方」で具体的に解説しています。

Q4. 料金が予期せず高くなることはありますか?

可能性はあります。特に「データ転送(アウト)=S3からのダウンロード量」が増えると料金が膨らみます。AWS Pricing Calculatorで事前に試算し、Cost ExplorerやAWS Budgetsでコストを監視しておくと安心です。

Q5. S3とEBS・EFSはどう違いますか?

S3はオブジェクトストレージで、容量無制限・大量データの保存に向いています。EBSはEC2に接続するブロックストレージEFSは複数サーバーで共有するファイルストレージです。「とにかくデータを大量に置きたい」ならS3が第一候補になります。

Q6. ストレージクラスは後から変更できますか?

できます。ライフサイクルポリシーを設定すれば、「30日経過したデータは自動でGlacierへ移動」といった移行を自動化でき、手動で個別に変更することも可能です。

おわりに|AWS S3は「クラウド活用の第一歩

本記事の要点を振り返ります。

  • AWS S3とは、容量を気にせずデータを保存・取得できるオブジェクトストレージサービス
  • 特徴は耐久性イレブンナイン(99.999999999%)・高い可用性・低コストの3点
  • 用途に応じて選べる8種のストレージクラスでコストを最適化できる
  • 料金は6つの要素で決まり、特に「データ転送(アウト)」による高額化に注意
  • 使い方はバケット作成→アップロード→権限設定の3ステップ。ブロックパブリックアクセスは有効のままが鉄則
  • 活用事例は静的サイト配信・バックアップ・データレイク・画像/動画保存など幅広い

冒頭のAWS公式の説明も、いまなら「容量無制限でデータを安全に保存できるサービスだな」とすんなり理解できるのではないでしょうか。20周年を迎えてなお進化を続けるAmazon S3を活用すれば、あなたが作成中の、あるいは構想中のシステムは、よりスケーラブルで信頼性の高いものになるはずです。

まずはAWSの無料利用枠で、実際にバケットを作ってファイルをアップロードしてみることが、理解への一番の近道です。ぜひ手を動かして、クラウドストレージの便利さを体感してみてください。

AWSをさらに学びたい方へ

※本記事で詳しく触れられなかった発展的トピック(バケットポリシー/IAM、暗号化SSE-S3・SSE-KMS、バージョニング、クロスリージョンレプリケーション、S3 Storage Lensなど)は、別記事で順次解説予定です。

参考リンク

この記事を書いた人

著者近影

KANADE

ALH株式会社
大阪・名古屋カンパニー事業推進統括部、大阪6部部長
AWS認定資格のコンプリート、AWS Authorized Instructorsも保有しています!
エンジニアとしては現在AWS環境上のシステムインフラ設計などを担当中。 このライターの他の記事を見る

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