テクノロジー

AWS Lambdaとは?できること・料金・つまずき所まで現役AWSエンジニアが解説

著者近影
KANADE

AWSを学んでいると、必ずと言っていいほど登場するのが「AWS Lambda」というサービスです。サーバーレスの代表格として多くのシステムで使われていますが、AWS公式サイトの説明を読むと、こう書かれています。

AWS Lambda は、サーバーのプロビジョニングや管理なしでコードを実行できるコンピューティングサービスです。

コンピューティングサービス?」「プロビジョニングって何?」と、専門用語が多すぎて戸惑ってしまった方も多いのではないでしょうか。

私はAWSエンジニアとして色々AWS関連の実務を積んできました。その経験から言うと、Lambdaは「最初の一歩はやさしいのに、実務で初めて気づく落とし穴がいくつかある」サービスです。

そこで本記事では、Lambdaの基本(何ができて・いくらかかるのか)に加えて、現場でよく聞かれる質問や、初心者が必ずと言っていいほどつまずくポイントまで、できるだけ実感に近い形で解説します。読み終えるころには、冒頭の難しい説明もすんなり理解でき、かつ「使うときに何に気をつければいいか」までイメージできるはずです。それでは始めましょう!

監修:KANADE
■保有資格
AWS Certified Cloud Practitioner / AWS Certified AI Practitioner / AWS Certified Solutions Architect - Associate / AWS Certified Developer - Associate / AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate / AWS Certified SysOps Administrator - Associate / AWS Certified Data Engineer - Associate / AWS Certified DevOps Engineer - Professional / AWS Certified Solutions Architect - Professional / AWS Certified Security - Specialty / AWS Certified Database - Specialty / AWS Certified Data Analytics - Specialty / AWS Certified Machine Learning - Specialty / AWS Certified SAP on AWS - Specialty / AWS Certified Advanced Networking - Specialty / AWS Authorized Instructors

食品業界からIT業界未経験でALHへ入社。AWS環境上で稼働するシステムインフラの設計から運用保守を担当。

運営元:ALH株式会社
ALH株式会社は、AWSパートナーネットワーク(APN)において、以下の認定を取得しているAWSパートナー企業です。

◆ AWS 1000 APN Certification Distinction
AWS認定資格の取得数が1,000件を超えたパートナーに与えられる認定
◆ AWS Training Partner
AWS公認の研修トレーニングを提供できるパートナー認定
◆ AWS Select Tier Services Partner
AWSサービスの構築・運用において一定の実績を持つパートナー認定

1. AWS Lambdaとは?【まずは結論】

AWS Lambda(アマゾン ウェブ サービス ラムダ)とは、一言でいうと「サーバーの準備や管理をしなくても、自分の書いたプログラム(コード)を実行できるAWSのサービス」です。

通常、プログラムを動かすにはそれを動かす「サーバー」が必要で、サーバーを用意したりOSをアップデートしたり障害に備えたりといった管理作業が欠かせませんでした。AWS Lambdaを使えば、こうしたサーバーまわりの面倒な作業はすべてAWSにお任せできます。私たちは「実行したい処理(コード)」だけを用意すればよく、あとはLambdaが必要なときに自動でコードを動かしてくれます

このように、サーバーの存在を意識せずにプログラムを実行できる仕組みを「サーバーレス」と呼びます(次章で詳しく解説します)。AWS Lambdaは、AWSにおけるサーバーレスの中心的なサービスです。

1-1. 「Lambda」の読み方は?

AWS Lambdaの「Lambda」は「ラムダ」と読みます。ギリシャ文字の「λ(ラムダ)」に由来し、数学やプログラミングの世界で「関数」を表す記号として使われてきました。AWS Lambdaでは、実行したいプログラムを「Lambda関数(ラムダかんすう)」と呼びます。

まずはここだけ押さえればOKです!

項目内容
サービス名AWS Lambda(ラムダ)
種類サーバーレスのコンピューティングサービス
ひとことで言うとサーバー管理なしでコードを実行できるサービス
料金の特徴使った分だけの従量課金(無料枠あり)
よく使われる場面ファイルの自動処理、定期実行、APIのバックエンドなど

この表が「なるほど」と思えれば、Lambdaの全体像はもう掴めています。ここから先は、それぞれを詳しく見ていきましょう。

Lambdaは「名前は聞いたことがあるけれど、EC2と何が違うのか説明できない」という方がとても多い印象です。ここでは細かい用語を完璧に覚える必要はありません。「サーバーの管理から解放されるサービスなんだな」という一点だけ持ち帰ってもらえれば、続きはスッと入ってきます。

2. そもそも「サーバーレス」とは?Lambdaを理解する前提

AWS Lambdaを理解するうえで避けて通れないのが「サーバーレス」という考え方です。直訳すると「サーバーが無い」ですが、実際にサーバーが存在しないわけではありません。正確には「サーバーの管理を、利用者が意識しなくてよい状態」を指します。サーバー自体はAWS側に存在しますが、その用意・管理・運用をすべてAWSが代行するため、利用者からはサーバーが「無い」かのように見えるのです。

2-1. 従来のサーバー運用との違い

イメージしやすいよう、レストランで例えてみましょう。

従来のサーバー運用は「自分でキッチンを持つ」ようなものです。料理(プログラム)を提供するためにキッチン(サーバー)を借り、調理器具を揃え、衛生管理もしなければなりません。お客さんが来ても来なくても維持費はかかり続けます

一方サーバーレスは「注文が入ったときだけ使える共用キッチンを、必要な分だけ借りる」ようなものです。準備や掃除、設備管理はすべて運営側(AWS)がやってくれます。利用者は「どんな料理を作るか(どんな処理をするか)」だけを考えればよく、料金も実際に料理を作った分だけ支払えば済みます。このように、サーバーレスでは「インフラ管理から解放され、本来やりたい処理の開発に集中できる」のが最大の特徴です。

2-2. FaaS(Function as a Service)という考え方

サーバーレスに関連して「FaaS(ファース/Function as a Service)」という言葉もよく登場します。FaaSとは「関数(Function)をサービスとして提供する」仕組みで、実行したい処理を「関数」単位で登録しておき、必要なタイミングで呼び出されて実行されます。AWS Lambdaは、このFaaSを代表するサービスです。3つの関係を整理すると次のとおりです。

  • サーバーレス:サーバー管理を意識しなくてよいという「考え方・状態」 
  • FaaS:関数単位でコードを実行する「仕組み」 
  • AWS Lambda:そのFaaSをAWS上で実現する「具体的なサービス」

言葉が似ていて混乱しやすいので、この関係を押さえておくと今後の学習がスムーズです。

3. AWS Lambdaの仕組み【イベント駆動を図解】

次は、AWS Lambdaが「どういう流れで動くのか」を見ていきましょう。Lambdaの動作は、大きく次の3ステップで成り立っています。

  1. イベントが発生する 
  2. Lambda関数が実行される 
  3. 使った分だけ課金される

この「何かのきっかけ(イベント)が起きたら、対応する処理が動く」という仕組みを「イベント駆動(イベントドリブン)」と呼びます。Lambdaはこのイベント駆動を前提に設計されているのが大きな特徴です。

3-1. トリガーとは?Lambdaが動き出すきっかけ

トリガーとは、Lambda関数を実行する「きっかけ」です。Lambdaは常に動き続けているわけではなく、何らかのトリガーが発生したときだけ起動します。

トリガーの例どんなとき動くか
Amazon S3ストレージにファイルがアップロードされたとき
Amazon API GatewayAPI Gateway経由で特定のURLにアクセスがあったとき
Amazon EventBridgeあらかじめ決めた時刻になったとき(定期実行など)
Amazon DynamoDB(DynamoDB Streams)DynamoDB Streams経由でテーブルのデータ変更を検知したとき

このように、他のAWSサービスと連携して「○○が起きたらLambdaを動かす」という使い方ができるのがLambdaの強みです。

なお、DynamoDBは厳密にはテーブルの更新で直接Lambdaを呼び出すわけではなく、「DynamoDB Streams」という変更履歴を記録する機能を有効にし、その変更イベントを受け取ってLambdaが起動する仕組みになっています。

初心者のうちは「データの変更をきっかけに動かせる」と理解しておけば十分ですが、実際に構築する際はこの点を押さえておくとスムーズです。

3-2. Lambda関数とは(ハンドラー・ランタイム)

トリガーによって実行される処理の本体が「Lambda関数」です。最初に知っておきたい用語が2つあります。

  • ハンドラー:トリガー発生時に最初に呼び出される処理の入り口。「ここから処理を始める」という目印です。 
  • ランタイム:プログラムを動かす実行環境。Python・Node.js・Java・Goなど複数の言語に対応し、使いたい言語を選べます。

初心者のうちは「ハンドラー=処理の入り口」「ランタイム=コードを動かす言語の環境」とざっくり理解しておけば十分です。

3-3. 身近な例で理解する:S3への画像アップロード自動処理

具体例でイメージしてみましょう。「ユーザーが写真をアップロードしたら、自動的にサムネイル(縮小画像)を作る」処理をLambdaで実現すると、次の流れになります。

  1. ユーザーが写真をアップロードし、画像がAmazon S3(ストレージ)に保存される 
  2. 「S3に画像が保存された」というイベントがトリガーとなり、Lambda関数が自動起動する 
  3. Lambda関数が画像を縮小してサムネイルを生成し、再びS3に保存する 
  4. 処理が終わるとLambdaは停止し、動いていた数秒分だけ課金される

ポイントは、サーバーを24時間動かし続ける必要がないことです。画像がアップロードされた一瞬だけLambdaが動き、それ以外はコストがかかりません。これがイベント駆動とサーバーレスを組み合わせたLambdaの効率の良さです。

4. AWS Lambdaでできること・使いどころ【活用事例】

具体的にどんな場面で役立つのか、代表的な活用パターンを紹介します。

  • ファイルの自動処理:S3にファイルが保存されたことをトリガーに、画像のサムネイル生成・ファイル形式の変換・動画からの音声抽出などを、人手を介さず自動化できます。 
  • 定期実行・バッチ処理:「毎朝9時に前日の売上を集計する」といった処理を、Amazon EventBridgeと組み合わせてスケジュール実行できます。専用サーバーを常時稼働させる必要がなく、処理が走る一瞬だけ動かせるためコストを抑えられます。 
  • APIのバックエンド処理:Amazon API Gatewayと組み合わせ、「特定のURLにアクセスがあったらLambda関数を実行して結果を返す」構成を作れます。「API Gateway + Lambda」はサーバーレスでAPIを構築する王道パターンで、アクセス数が読みにくいサービスと相性が良いのが特徴です。 
  • サービス間の連携・通知処理:「データベースが更新されたら通知を送る」「エラーログが出たらSlackやメールにアラートを飛ばす」など、サービス同士をつなぐ接着剤のような役割でも活躍します。

4-1. どんな処理が向いている?

向いている処理理由
短時間で完結する処理実行時間に上限があるため(後述)
実行頻度が一定でない処理アイドル時はコストがかからないため
イベントに応じて動かしたい処理イベント駆動の仕組みと相性が良いため
サービス間の連携・通知他のAWSサービスと簡単に組み合わせられるため

逆に「24時間止まらず動き続ける処理」や「1回に何十分もかかる処理」には向きません。この点は第7章で詳しく解説します。

はじめてLambdaを触る方には、「S3に画像が来たらサムネイルを作る」か「毎朝決まった時刻に通知を送る」のどちらかから始めるのがおすすめです。どちらも数十行のコードで完結し、トリガー→実行→課金というLambdaの流れを丸ごと体験できるからです。いきなり本格的なAPI構築から入ると、Lambda以外の設定(権限まわりなど)でつまずいて、肝心のLambdaの面白さにたどり着く前に挫折しがちです。

5. AWS Lambdaの料金体系【無料枠あり】

AWS Lambdaは「使った分だけ支払う従量課金」が基本で、無料利用枠も用意されています。

※本章の料金はAWS公式サイト(2026年6月時点)の情報に基づきます。料金は改定される場合があるため、利用前には必ずAWS Lambda公式料金ページで最新情報をご確認ください。

5-1. 料金は「リクエスト数」と「実行時間」で決まる

Lambdaの料金は主に次の2つで計算されます。

  • リクエスト料金:Lambda関数が呼び出された「回数」に対する料金 
  • コンピューティング料金:関数が動いていた「時間」と「割り当てたメモリ量」に対する料金(GB-秒という単位)

「GB-秒」とは割り当てたメモリ(GB)×実行時間(秒)で求められる単位です。1GBのメモリを割り当てた関数を1秒動かすと「1GB-秒」。メモリを多く割り当てるほど、また長く動かすほど料金は高くなります。

5-2. 無料利用枠(毎月リセット)

Lambdaには、利用開始からの期間にかかわらず毎月付与される無料利用枠があります。

無料利用枠の内容毎月の無料分
リクエスト数100万件 / 月
コンピューティング時間40万 GB-秒 / 月

この無料枠はx86とArmの両アーキテクチャに適用されます。個人での学習や小規模な検証であれば無料枠に収まることも多く、気軽に試せるのが嬉しいポイントです。

5-3. 無料枠を超えた場合の料金

無料枠を超えると、使った分に応じて課金されます。料金はリージョンやアーキテクチャ(x86/Arm)によって異なり、東京リージョン・x86の場合、目安は以下のとおりです。

項目料金(無料枠超過後の目安)
リクエスト料金100万件あたり 0.20 USD
コンピューティング料金1 GB-秒あたり 0.0000166667 USD〜

※コンピューティング料金は月間の使用量が多いほど単価が下がる段階制で、上表は最初の利用帯(月60億GB-秒まで)の単価です。また、Armベースのプロセッサはx86より安価に設定されています。正確な料金はAWS公式料金ページをご確認ください。

ポイントは「動いていない時間には一切課金されない」こと。サーバーを常時起動する従来型と違い、実際に処理が走った分だけの支払いで済むため、実行頻度が低いシステムほどコスト面のメリットが大きくなります。

ただし、後述するコールドスタート対策の「Provisioned Concurrency(プロビジョニングされた同時実行)」を使う場合は例外で、関数を待機させている時間にも課金が発生します。常に即応答が求められる場面で使う機能なので、初心者のうちは「通常は使った分だけ。待機させる設定をすると待機時間にも課金される」と覚えておけば十分です。

5-4. 料金が予想外に高くなるケースに注意

一方で注意点もあります。「使った分だけ」という性質上、呼び出し回数が想定以上に増えると料金も比例して膨らみます。設定ミスで関数が無限に呼び出されたり、想定を超える大量アクセスが発生したりすると、思わぬ高額請求につながることも。対策として、予算超過を知らせる「AWS Budgets」や利用状況を可視化する「Cost Explorer」が用意されています。本番運用ではコストを監視する習慣をつけておくと安心です。

5-5. 請求でヒヤッとしないために

教育現場でも、まれに「検証用に作ったLambdaが、他サービスと連携した状態でループしてしまい、想定外に呼び出され続けていた」というヒヤリ事例を耳にします。Lambda自体は安価ですが、「呼び出され続ける状態」に気づかないことが一番恐ろしいです。学習目的であっても、最初にAWS Budgetsで「月◯円を超えたら通知」を設定しておくクセをつけると、安心して色々試せます。

6. AWS Lambdaのメリット

Lambdaを使うメリットを4つ整理します。

  • サーバーの管理が不要になる:サーバーの調達・OSのアップデート・障害対応などをすべてAWSが担当するため、開発者は処理を書くことに集中できます。インフラの専門知識が浅くても取り組みやすいのが魅力です。
  • 使った分だけの従量課金でコスト効率が良い:実際にコードが動いた分だけ課金され、処理が走っていない間は料金が発生しません。実行頻度が低い処理やアクセスが時間帯で大きく変動する処理では、コストを大幅に削減できる可能性があります。
  • 自動でスケールするので負荷に強い:リクエスト量に応じて処理能力を自動的に増減(スケーリング)します。急なアクセス集中にも、利用者が設定や手動調整をすることなく柔軟に対応できます。
  • 複数のプログラミング言語に対応:Python・Node.js・Java・Go・Ruby・.NETなど主要言語に幅広く対応。使い慣れた言語で開発でき、スムーズに導入できます。
メリット内容
サーバー管理が不要構築・運用・障害対応をAWSに任せられる
従量課金でコスト効率が良い動いた分だけの支払い、アイドル時は無料
自動スケーリングアクセス増減に自動で対応、設定不要
言語が豊富使い慣れた言語で開発できる

7. AWS Lambdaのデメリット・つまずきやすいポイント【制限事項】

メリットの多いLambdaですが万能ではありません。ここは、私が研修や現場で「先に知っておけば防げたのに」と感じることが多いポイントでもあります。導入後に「思っていたのと違った」とならないよう、しっかり押さえておきましょう。

  • 実行時間に上限がある(最大15分):1回の実行につき最大15分(900秒)まで。「何時間もかかる処理」には向かず、長時間処理は後述のEC2やコンテナサービスを検討します。
  • コールドスタートによる遅延:しばらく呼び出されていなかった関数が久々に実行されるとき、Lambdaは実行環境を新たに準備するため最初の起動に少し時間がかかることがあります。これが「コールドスタート」です。普段は気になりませんが、わずかな遅延も許されないケースでは注意が必要です(Provisioned Concurrencyなどの軽減策もあります)。
  • 同時実行数に制限がある:同時に実行できる関数の数に上限があります。デフォルトでは1リージョンあたり1,000同時実行までで(引き上げ申請が可能)、極端に大量のリクエストが一斉に発生すると、上限に達して処理が待たされたりエラーになったりすることがあります。
  • 状態を保持できない(ステートレス):Lambda関数は実行ごとに独立していて、前回の処理結果を内部に保持できません。データを保持したいときは、Amazon S3DynamoDBなど外部のサービスに保存する必要があります。
注意点内容
実行時間の上限1回あたり最大15分まで。長時間処理には不向き
コールドスタート久々の起動時に遅延が発生することがある
同時実行数の制限デフォルトは1リージョンあたり1,000同時実行(引き上げ可)。大量の同時アクセス時は上限に注意
ステートレス状態を保持できず、データは外部に保存が必要

7-1. 初心者が一番つまずくのは「ステートレス」

経験上、初学者が最もつまずくのがステートレスの感覚です。

「さっきの処理で覚えた値を、次の処理でも使えるはず」と考えてコードを書いてしまい、「なぜか前の値が消えている」と悩むケースが本当に多いと感じます。

「Lambdaは毎回まっさらな状態で起動する」と最初に頭を切り替えられるかどうかが、つまずきの分かれ道です。
データを覚えておきたいならS3やDynamoDBに預けるというのを最初に押さえておくと、後の理解が一気にラクになります。

これらの制限はLambdaが苦手なことを示します。
裏を返せば、第4章で紹介した「短時間で完結する」「イベントに応じて動かす」処理なら、デメリットの影響をほとんど受けずにメリットだけを活かせるということです。

8. AWS Lambdaと他サービスの使い分け【EC2・ECSとの違い】

コードやアプリを動かすサービスはLambda以外にもあります。代表的な「Amazon EC2」「Amazon ECS/AWS Fargate」との使い分けを整理します。

8-1. Lambda と EC2 の違い

Amazon EC2は、クラウド上に仮想サーバーを立てて使うサービスです。Lambdaが「サーバーを意識しない」のに対し、EC2は「自分でサーバーを用意して管理する」点が根本的に異なります。

比較項目AWS LambdaAmazon EC2
サーバー管理不要(AWSが管理)必要(自分で管理)
課金の仕組み実行した分だけ従量課金起動している間ずっと課金
実行時間最大15分まで15分のような上限はない(常時稼働も可能)
向いている処理短時間・断続的な処理長時間・常時稼働の処理
自由度低め(決められた枠組みの中で使う)高い(OSレベルから自由に設定可能)

ざっくり言えば「短時間でたまに動く処理ならLambda」「長時間ずっと動かす処理やサーバーを細かく制御したいならEC2」という使い分けです。

8-2. Lambda と ECS/Fargate(コンテナ)の違い

Amazon ECSやAWS Fargateはコンテナを使うサービスです。Lambdaが「関数(小さな処理)」を実行するのに向くのに対し、ECS/Fargateは「コンテナ化されたアプリケーション全体」を動かすのに向いています。

比較項目AWS LambdaAmazon ECS/Fargate
実行する単位関数(小さな処理)コンテナ(アプリ全体)
実行時間最大15分まで15分のような上限はない
起動の速さ速い(ただしコールドスタートあり)常時稼働させやすい
向いている処理イベント駆動の単発処理常時稼働するアプリ、長時間処理

イベントをきっかけにした単発処理ならLambda」「常に動かしておきたいアプリならECS/Fargate」が基本的な考え方です。コンテナやAmazon ECSの仕組みは別記事で初心者向けに解説しています。あわせて読むと、サーバーレスとコンテナの違いがより立体的に理解できます。

関連記事:【初心者向け】Amazon ECSの基本概念をわかりやすく解説してみた

こんなときは…おすすめサービス
短時間で完結する処理を、イベントに応じて動かしたいAWS Lambda
サーバーを細かく制御したい/長時間ずっと動かしたいAmazon EC2
コンテナ化したアプリを常時稼働させたいAmazon ECS/Fargate

実際の現場ではこれらを組み合わせて使うことも多く、「APIのバックエンドはLambda、常時稼働の管理画面はECS」のように、それぞれの得意分野を活かして適材適所で使うのが理想です。

9. AWS Lambdaに関するよくある質問(FAQ)

Q1. AWS Lambdaは初心者でも使えますか?

はい。サーバーの構築や管理が不要なため、インフラの知識が浅い方でも比較的始めやすいサービスです。無料利用枠の範囲内で試せるので、まずは簡単な関数を作って動かしてみることをおすすめします。

Q2. Lambdaの「環境変数」とは何ですか?

コード本体とは別に関数に渡しておける「設定値」のことです。接続先のデータベース名やAPIキーなどを環境変数にしておくと、コードを書き換えずに設定だけ変更できます。設定値とプログラムを分離でき、管理がしやすくなります。

Q3. Lambdaの「レイヤー(Layers)」とは何ですか?

複数のLambda関数で共通して使うライブラリやデータをまとめて管理できる仕組みです。同じライブラリを各関数に毎回含める必要がなくなり、コードの管理が楽になります。

Q4. 料金が予期せず高くなることはありますか?

可能性はあります。「使った分だけ」課金されるため、呼び出し回数が想定以上に増えると料金も膨らみます。AWS BudgetsやCost Explorerでコストを監視し、想定外の課金に早めに気づける状態にしておくと安心です。

Q5. Lambdaでデータベースに接続できますか?

できます。Amazon RDSやDynamoDBなどに接続してデータの読み書きが可能です。ただしLambdaはステートレスなため、データそのものはこうした外部のデータベースに保存する形になります。

Q6. どのプログラミング言語を選べばいいですか?

自分やチームが最も使い慣れた言語を選ぶのが基本です。特にこだわりがなければ、情報量が多く学習しやすいPythonやNode.js(JavaScript)から始める方が多い傾向にあります。

10. まとめ|AWS Lambdaは「サーバー管理から解放される」第一歩

本記事の要点を振り返ります。

  • AWS Lambdaとは:サーバーの準備や管理をせずにコードを実行できるサーバーレスの代表的なサービス 
  • 仕組み:「イベント発生 → Lambda関数が実行 → 使った分だけ課金」というイベント駆動 
  • 使いどころ:ファイルの自動処理・定期実行・APIのバックエンド・サービス連携など短時間で完結する処理 
  • 料金:使った分だけの従量課金で無料利用枠あり。呼び出し回数増による高額化には注意 
  • メリット:サーバー管理不要・コスト効率・自動スケーリング、デメリットは実行時間15分の上限やコールドスタート、ステートレスなど 
  • EC2やECS/Fargateとの使い分け:「短時間・イベント駆動ならLambda」が基本

冒頭のAWS公式の説明も、いまなら「サーバーの管理をせずにコードを動かせるサービスだな」とすんなり理解できるのではないでしょうか。Lambdaは入口こそやさしいですが、ステートレスやコールドスタートなど、実際に手を動かして初めて腹落ちするポイントも多いサービスです。まずはAWSの無料利用枠で、本記事で紹介した「S3に画像が来たらサムネイル生成」のような小さな関数から動かしてみてください。手を動かすことが、理解への一番の近道です。

AWSをさらに学びたい方へ

コンテナの仕組みを学びたい方は【初心者向け】Amazon ECSの基本概念をわかりやすく解説してみたを。 Lambdaを使った開発スキルを資格で証明したい方には、サーバーレス開発が出題範囲のAWS Certified Developer - Associate(DVA-C02)がおすすめです。詳しくはAWS DVAとは?難易度・勉強方法・DVA-C02対策を解説【合格者監修】で解説しています。 AWS認定資格の全体像は【2026年最新】AWS資格一覧|全12種類の難易度・略称・受験料・取得順を徹底解説もぜひ参考にしてください。

参考文献

AWS Lambda(AWS公式):https://aws.amazon.com/jp/lambda/

 AWS Lambda の料金(AWS公式):https://aws.amazon.com/jp/lambda/pricing/

 AWS Lambda とは(AWS公式ドキュメント):https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/lambda/latest/dg/welcome.html

 ※本記事の料金・仕様は2026年6月時点のAWS公式情報に基づいています。最新の情報は必ずAWS公式サイトをご確認ください。

この記事を書いた人

著者近影

KANADE

ALH株式会社
大阪・名古屋カンパニー事業推進統括部、大阪6部部長
AWS認定資格のコンプリート、AWS Authorized Instructorsも保有しています!
エンジニアとしては現在AWS環境上のシステムインフラ設計などを担当中。 このライターの他の記事を見る

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