テクノロジー

【2026年最新】Amazon EC2とは?インスタンスタイプの選び方と料金体系を現役AWSエンジニアが解説

著者近影
HIROTO

「AWSでサーバーが必要なのはわかったけど、EC2って結局何?」「LambdaやECSと何が違うの?」「インスタンスタイプが多すぎて、どれを選べばいいかわからない」

などの疑問を持ちながら、とりあえずt2.microを選んで動かしてみた、という経験のある方も多いのではないでしょうか。

Amazon EC2は、AWSで仮想サーバーを立てられるサービスです。設定の自由度が高い分、選択肢も多く、初めは戸惑うかもしれません。しかし「インスタンスタイプ」と「料金プランの仕組み」の2点さえ押さえれば、無駄なコストを払わずに最適な構成が作れるようになります。

本記事では、EC2の基本概念からインスタンスタイプの選び方、料金の落とし穴まで、AWSエンジニアとして実際にEC2を設計・運用してきた筆者の知見をもとに整理しました。
「Lambda・ECSとどう使い分けるか」「停止中も料金がかかる理由」など、現場で迷いやすいポイントも具体的に解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

監修:HIROTO
AWS基盤のインフラ設計・構築から維持運用、チームマネジメントなどを幅広く担当するインフラエンジニア。

オンプレからのAWS移行、マルチアカウント化、新規基盤の設計構築などの実績に加え、並行してセキュリティ領域のPJではPLを担当。2025 All AWS Certifications Engineers。

運営元:ALH株式会社
ALH株式会社は、AWSパートナーネットワーク(APN)において、以下の認定を取得しているAWSパートナー企業です。

◆ AWS 1000 APN Certification Distinction
AWS認定資格の取得数が1,000件を超えたパートナーに与えられる認定

◆ AWS Training Partner
AWS公認の研修トレーニングを提供できるパートナー認定

◆ AWS Select Tier Services Partner
AWSサービスの構築・運用において一定の実績を持つパートナー認定

1. Amazon EC2とは?【まずは結論】

Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)とは、AWSが提供するクラウド上の仮想サーバーサービスです。物理的なサーバーをAWS側が管理してくれるため、自分でサーバーを購入・設置・維持する必要なく、ブラウザから数分で仮想マシン(インスタンス)を起動できます。(出典:Amazon EC2 公式ページ)

項目内容
サービス名Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)
種類IaaS(Infrastructure as a Service)仮想サーバー
ひとことで言うとクラウド上に仮想サーバーを立てて自由に操作できるサービス
料金体系使った分だけの従量課金(無料枠あり)
向いている場面Webサーバー、バッチ処理、開発環境、フルコントロールが必要な用途

「仮想サーバー」とは、1台の物理サーバーを複数の独立した環境に分割して提供する技術です。ハードウェアの購入・設置・修理などの維持管理はAWS側が担うため、利用者はスペックやOSを選ぶだけで、すぐに使い始めることができます。

1-1. 「EC2」の読み方と名前の由来

「EC2」は「イーシーツー」と読みます。正式名称「Elastic Compute Cloud」の頭文字「C」が2つ並ぶことに由来します(Cが2つでC2、そこにElasticのEを合わせてEC2)。

「Elastic(伸縮自在な)」という名前のとおり、サーバーのスペックや台数を必要に応じて柔軟に変更できることが、EC2の大きな特徴です。アクセスが増えたときはスペックを上げ、アクセスが落ち着いたら下げるという、物理サーバーでは難しかったこの柔軟さが、クラウドならではの強みです。

1-2. EC2が使われる主な場面(ユースケース)

EC2が選ばれる主な場面は以下のとおりです。

用途具体例
Webサーバー企業サイト・ECサイト・社内業務アプリのホスティング
アプリケーションサーバーバックエンドAPI、マイクロサービスの実行環境
バッチ処理夜間の大量データ集計、定期的なファイル変換処理
開発・テスト環境本番環境と同等の構成を低コストで再現
機械学習・AI推論GPUインスタンスを使った大規模演算
レガシーシステムの移行オンプレミスからクラウドへの段階的移行

EC2の最大の強みは「自由度の高さ」です。OSの選択からミドルウェアの設定、ネットワーク構成まで、ほぼすべてを自分でコントロールできます。特定のソフトウェアや細かい設定が必要な環境では、他のサービスでは代替できないケースも多く、今も多くのシステムでEC2が選ばれ続けています。

1-3. Lambda・ECSとの違いは?AWSコンピューティングサービスの使い分け

「サーバーレス」のLambda、コンテナ管理のECSと比較して、EC2をどう位置づけるかは、AWSを使い始めた方が最初に迷うポイントです。

違いを以下の表にまとめてみました。

サービス名管理の粒度向いている用途特徴
EC2OSレベルまでフルコントロール長時間稼働・フルカスタマイズが必要な処理最も自由度が高い反面、管理コストも高い
Lambdaコードのみ(インフラ不要)イベント駆動の短時間処理(最大15分)サーバー管理不要だが実行時間・メモリに制限あり
ECSコンテナ単位Dockerコンテナを動かしたい場面EC2またはFargate上でコンテナを管理

迷ったときの判断軸は「インフラをどこまで自分で管理したいか」です。「OSやネットワーク設定まで自分で決めたい」「既存のソフトウェアをそのまま動かしたい」場合はEC2、「コードだけ書いてインフラは任せたい」場合はLambda、「コンテナで動かしたい」場合はECSが候補になります。

AWS Lambdaとは?できること・料金・つまずき所まで現役AWSエンジニアが解説

2026.7.16

【初心者向け】 Amazon ECSの基本概念をわかりやすく解説してみた

2025.1.14

2. EC2インスタンスとは何か

「インスタンス」とは、EC2上で起動した1台の仮想サーバーのことです。パソコンで例えると、実際に電源を入れて動かしているマシン1台に相当します。

インスタンスは複数同時に起動でき、それぞれ独立して動作します。スペック(インスタンスタイプ)やOSはインスタンスごとに設定できるため、「本番サーバーは高スペック、開発環境は低スペックで安く」という使い分けも容易です。

2-1. AMI(Amazon マシンイメージ)とは

AMI(Amazon Machine Image / アマゾン マシン イメージ)とは、インスタンスを起動するためのテンプレート(ひな形)です。OSの種類・バージョン、初期インストール済みのソフトウェア、ストレージ設定などが一式セットになっています。

種類説明使う場面
AWS公式AMIAmazon Linux、Ubuntu、Windowsなど標準環境の構築
AWSマーケットプレイスAMIサードパーティ提供(商用ソフト込み)特定ソフトが必要な場合
カスタムAMI自分で作成・保存した独自イメージ同一構成の複製・環境再現

同じ構成のサーバーを複数台立てる場合、カスタムAMIを作成しておくと「いつでも同じ環境を再現できる」という大きなメリットがあります。本番サーバーと同じAMIで開発環境を立てることで、「開発環境では動いたのに本番では動かない」という問題も起きにくくなります。

2-2. セキュリティグループとキーペアの基本

セキュリティグループとは、インスタンスへの通信の「許可」を設定する仮想ファイアウォールです。許可したい通信だけをルールに登録する「許可リスト方式」で、登録されていない通信は自動的に遮断されます。「HTTP(80番ポート)は全世界からOK、SSH(22番ポート)は自分のIPアドレスからのみ許可」といったルールを設定します。セキュリティグループは「必要最低限のポートのみ開放」が鉄則で、不用意に全ポートを開けてしまうと外部からの不正アクセスにつながります。

キーペアとは、SSHでインスタンスにログインするための認証鍵(公開鍵・秘密鍵のペア)です。パスワードの代わりに鍵ファイルを使って接続する仕組みで、セキュリティを高めています。秘密鍵ファイルは作成時の1回しかダウンロードできないため、安全な場所に保存・管理することが重要です。

2-3. EBS(Elastic Block Store)とは

EBS(Elastic Block Store)とは、EC2インスタンスに接続するクラウドストレージ(ブロックストレージ)です。パソコンのHDDやSSDに相当するもので、OSやアプリケーション・データを保存します。

EBSはインスタンスとは独立したストレージです。起動時に自動でアタッチされる「ルートボリューム」は「終了時に削除(DeleteOnTermination)」がデフォルトで有効なため、インスタンスを終了(Terminate)すると一緒に削除されます。

一方、あとから追加でアタッチしたEBSボリュームは、デフォルトでは終了時に削除されず、インスタンスを停止・削除しても残り続けるのが基本です(※アタッチの方法によっては挙動が異なる場合があります)。この残ったボリュームが料金の「落とし穴」にもなります。詳しくは第4章で解説します。

3. インスタンスタイプの選び方【EC2最大のポイント】

EC2を使い始めるとき、多くの方がつまずくのがインスタンスタイプの選択です。2026年現在、EC2には数多くのインスタンスタイプが存在しており、選ぶだけで一苦労です。
そこで大事なのが命名規則と選び方の基準を理解することです。

  これらを理解できれば、自分の用途に合ったタイプを迷わず絞り込めるようになります。(出典:AWS公式 Amazon EC2インスタンスタイプ)

3-1. インスタンスタイプの命名規則を読み解く

インスタンスタイプ名には規則があります。例えば「c8g.2xlarge」を分解すると次のようになります。

要素例意味
シリーズ(Series)cインスタンスの系統で、用途の大分類を表す(例:cはコンピューティング最適化、mは汎用)
世代(Generation)8数字が大きいほど新しい世代
オプション(Options)gプロセッサの種類や追加機能(例:gはGraviton、nはネットワーク強化)
インスタンスサイズ(Instance size)2xlargeリソース量(nano→micro→small→medium→large→xlarge→2xlarge…)

最初の3つ(シリーズ+世代+オプション)をまとめて「インスタンスファミリー」(例:c8g)、ピリオド以降を「インスタンスサイズ」(例:2xlarge)と呼び、その全体が1つの「インスタンスタイプ」になります。(出典:AWS公式ドキュメント:インスタンスタイプの命名規則)

インスタンスファミリーが「用途の軸」、インスタンスサイズが「スペック量の軸」です。この2点を決めれば、インスタンスタイプは自然に絞り込めます。世代は特別な理由がない限り最新世代を選ぶのがおすすめです。1時間あたりの単価は新しい世代のほうが高くなるケースもありますが、その分パフォーマンスが向上しているため、処理性能あたりのコスト(コストパフォーマンス)で見ると新世代のほうが有利になることが多いです。

3-2. インスタンスファミリー別の特徴と主なユースケース

主なインスタンスファミリーの特徴をまとめます。

ファミリー代表インスタンス特徴主な用途
汎用(M系)m8i、m9gCPU・メモリのバランスが良い。安定した負荷向けWebサーバー、アプリサーバー、小規模DB
汎用バースト(T系)t3、t3a通常は低CPU性能、ピーク時だけ一時的に向上開発環境、低負荷サービス、小規模サイト
コンピューティング最適化(C系)c8i、c9gCPU性能を重視バッチ処理、ゲームサーバー、動画エンコード
メモリ最適化(R系)r8i、r8i-flex大容量メモリを搭載大規模DB、インメモリキャッシュ、SAP
ストレージ最適化(I/D系)i4i高速NVMe SSD搭載データウェアハウス、Elasticsearchクラスター
GPU最適化(G/P系)g6、p6GPU搭載機械学習トレーニング、画像・動画処理、AI推論
ARM/Graviton(末尾g)m9g、c9g、r8gAWS独自ARMプロセッサ搭載コスト最適化(x86系比で最大20%低い)

※インスタンス型番は2026年7月時点の代表例です。最新世代は随時AWS公式サイトでご確認ください。

「迷ったらまず汎用(M系またはT系)を選ぶ」が基本方針です。T系はバースト機能付きで開発環境や低負荷サービスに向いており、M系はCPU性能が一定で本番Webサーバーや常時負荷のかかる用途に安定して使えます。

3-3. どれを選べばいい?3つの質問で決まる選択フロー

「どのインスタンスタイプを選べばいいか」は、次の3つの質問に順番に答えるだけで絞り込めます。

Q1.特殊な処理が必要か?

  • GPU処理が必要(機械学習・動画処理)→ G/P系
  • 大規模なメモリが必要(大規模DB・SAP)→ R/X系
  • 特になし → 質問②へ

Q2.処理の特性は何か?

  • CPU集約型(バッチ・エンコード・科学計算)→ C系
  • バランス型(Webサーバー・API・アプリサーバー)→ M/T系

Q3.負荷は安定しているか?

  • 一定の負荷(本番Webサーバーなど)→ M系
  • 突発的・断続的な負荷(開発環境・低負荷サービス)→ T系

コストを抑えたい場合、同じファミリーのGraviton版(末尾がg)を選ぶとコスパが上がります。ARM対応のソフトウェアであれば積極的に検討する価値があります。

▼簡単にフローチャートにしてみました、ぜひ参考にしてみてください!


3-4. 【現場の経験談】インスタンスタイプ選びでありがちな失敗

AWSエンジニアとして実際にEC2を設計・運用してきた筆者の経験から、よくあるつまずきを3つ紹介します。

【失敗①】開発環境に本番と同じスペックを使い続ける

開発環境に本番と同じ高スペックインスタンスを使い続けるケースはよく見られます。開発環境は稼働時間も短く、負荷も低いことがほとんどです。t3.microやt3.smallで十分なことが多く、さらに使わない時間帯は自動停止スケジュールを設定するだけで、開発環境のコストを大幅に削減できます。

【失敗②】旧世代インスタンスを使い続ける

「動いているから変えたくない」という理由で旧世代インスタンス(t2、m4、m5など)を使い続けるケースも多くあります。新世代(t3、m8iなど)は同価格帯でより高いパフォーマンスを発揮することが多く、特別な理由がなければ定期的に最新世代へ移行することで、コストパフォーマンスが改善します。

【失敗③】サイズを最初から大きくしすぎる

「安全のため大きめに」とxlargeや2xlargeを選んだものの、実際のCPU・メモリ使用率が常に10%以下だった、というケースも珍しくありません。まずはmediumかlargeから始め、CloudWatchでCPU・メモリ使用率を1〜2週間モニタリングしてから適切なサイズに調整する「ライトサイジング(Right Sizing)」のアプローチが現場での定石です。

【コストだけで選ぶと起きる、現場のあるある】

サーバー構築時にアプリ担当者へインスタンスタイプの希望をヒアリングすると、コスト面だけで指定されるケースが少なくありません。そのとき筆者がよく説明している2つの注意点を紹介します。

  • 本番環境に「安いから」とT系(t3・t4gなど)を選ぶ → バースト方式のため、高負荷が続くとCPUクレジットが枯渇し、パフォーマンスが極端に落ちてしまう。
  • 互換性を確認せずGraviton(末尾g)を選ぶ → ARM非対応のアプリはそもそも起動しない。採用前に必ずアプリのARM対応可否を確認することが重要。

4. EC2の料金体系|損しないための4つの知識

Amazon EC2の料金は「インスタンスタイプ × 稼働時間 × 料金プラン」で決まります。ただし、ストレージや通信も別途課金されるため、EC2の請求全体を理解するには複数の要素を把握しておく必要があります。

※本セクションの料金情報は2026年6月時点のAWS公式ページを参考にしています。料金は予告なく変更される場合があります。利用前には必ずAWS公式料金ページで最新情報をご確認ください。(出典:AWS公式 Amazon EC2料金ページ)

4-1. EC2料金を構成する要素

料金要素内容注意点
① インスタンス使用料稼働時間に応じた課金(秒単位)停止(Stop)中は発生しない
② EBSストレージ接続ストレージの容量・種類インスタンス停止中も課金が継続する
③ データ転送(アウト)インターネットへの送信量同リージョン内のAWSサービス間は無料
④ Elastic IP固定IPアドレスの割り当て割り当て中は使用・未使用を問わず課金(2024年2月〜、全パブリックIPv4が対象)
⑤ AMIストレージカスタムAMIに紐づくEBSスナップショットの保存料金大量作成すると積み重なりやすい

特に注意が必要なのが「②EBSストレージ」と「④Elastic IP」です。「インスタンスを停止したのに翌月も料金が来た」という問い合わせの多くは、この2つが原因です。

4-2. 料金プラン4種の比較

EC2には主に4つの料金プランがあります。用途に合わせて使い分けることで、コストを大幅に削減できます。

プラン課金方式割引目安向いている場面
オンデマンド使った分だけ(秒単位)割引なし(定価)短期利用、開発環境、需要が読めない場合
Savings Plans1〜3年間の使用量コミット最大72%割引長期安定利用(柔軟にインスタンス変更可)
リザーブドインスタンス1〜3年間の特定タイプ予約最大72%割引特定インスタンスタイプを長期固定で使う場合
スポットインスタンス需給に応じた変動料金最大90%割引中断されても問題ないバッチ・CI処理

長期で安定して使うインスタンスには、Savings Plansが最も柔軟でコスト効率が高い選択肢になることが多いです。リザーブドインスタンスと異なり、インスタンスタイプやリージョンを途中で変えても適用されるため、将来の構成変更に対応しやすいのが特徴です。(出典:AWS公式 Savings Plans)

スポットインスタンスは「AWSの余剰コンピューティングキャパシティを安く使う」仕組みです。需給状況によってインスタンスが突然停止(中断)されることがあるため、途中で処理が止まっても問題ない用途(バッチ処理、CI/CDパイプライン、機械学習の学習処理など)に向いています。(出典:AWS公式 スポットインスタンス)

4-3. 停止中も課金される?「EBSとElastic IP」の落とし穴

「インスタンスを停止(Stop)したのに翌月の請求が来た」という声は非常に多くあります。原因はほぼ決まって、EBSストレージとElastic IPの料金です。

EC2インスタンスを「停止」すると、インスタンスの使用料はゼロになります。しかしインスタンスに接続されたEBSボリュームはそのまま残り続けるため、ストレージ容量分の料金が発生し続けます。また、2024年2月以降、割り当て中の全てのパブリックIPv4アドレスに課金されるよう変更されたため、Elastic IP(固定パブリックIPアドレス)も未使用・停止中を問わず課金されます。(出典:AWS公式ブログ:パブリックIPv4アドレス課金)

対処法は2つです。

  • 本当に不要な環境は「終了(Terminate)」する(EBSも削除される)
  • 使わない期間だけのデータはスナップショットとして保存し、EBSボリュームを削除する

「停止(Stop)」と「終了(Terminate)」は別操作です。終了するとインスタンスは削除され、再起動はできません。この違いを最初に理解しておくことが、EC2のコスト管理の基本です。

4-4. EC2コストを抑える実践的なポイント

1. 開発環境はスケジュール停止を設定する

業務時間外(夜間・休日)に自動停止するよう設定するだけで、開発環境のコストを大幅に削減できるケースがあります。実現方法はいくつかあり、代表的なものにAWS提供の「Instance Scheduler」や「EventBridge+Lambda」を使う方法があります。

2. 継続利用インスタンスはSavings Plansを検討する

1年コミットでもオンデマンドより割安になるケースが多く、ある程度の継続利用が見込める本番環境では費用対効果が高いです。

3. Cost ExplorerとCompute Optimizerを活用する

AWS Cost Explorerでは過去のインスタンス使用状況を可視化でき、AWS Compute Optimizerは現在のインスタンスに対して「このタイプに変えるとコストが下がる」という推奨を自動で提案してくれます。定期的にチェックする習慣をつけると、気づかないうちに積み重なるコストを防げます。

4. 不要なAMI・スナップショットを定期削除する

カスタムAMIは、その実体であるEBSスナップショットとして保存され、スナップショットの容量分の料金が発生します。古いAMIは定期的に棚卸しして削除するか、ライフサイクルルールを設定しておきましょう。

5. EC2の基本的な使い方(起動〜接続〜管理)

EC2インスタンスの操作はすべてWebブラウザ上の「AWSマネジメントコンソール」から行えます。大きな流れは「AMI選択 → インスタンスタイプ選択 → セキュリティ設定 → 起動」の4ステップです。

5-1. インスタンスの起動手順

【ステップ1:AMIを選択する】

使いたいOSを選びます。はじめてEC2を触る場合は「Amazon Linux 2023」または「Ubuntu 24.04 LTS」はいずれも追加のライセンス費用がかからず、日本語情報も豊富なためおすすめです。商用ソフトが必要な場合はAWSマーケットプレイスから選ぶこともできます。

【ステップ2:インスタンスタイプを選択する】

第3章の選択フローを参考にタイプを選びます。学習用に無料で試したい場合は、無料利用枠やサインアップ時のクレジットの範囲で、t3.microなどの小さめのタイプから始めるとよいでしょう(無料で使える対象・条件は時期により変わるためAWS公式でご確認ください)。

【ステップ3:キーペア・セキュリティグループを設定する】

SSH接続用のキーペアを作成・ダウンロードし、セキュリティグループで必要なポートを開放します。セキュリティグループは「必要最低限のポートのみ開放」が鉄則です。

【ステップ4:起動する】

「インスタンスを起動」をクリックすると、数十秒〜数分でインスタンスが起動します。コンソール上でインスタンスのステータスが「running」になったら接続可能です。

5-2. インスタンスへの接続方法

起動したインスタンスへの接続方法は主に3つあります。

方法概要おすすめの場面
SSH接続キーペア(秘密鍵)を使いターミナルから接続Linux環境での標準的な接続方法
Systems Manager(Session Manager)ブラウザまたはAWS CLIからキーペア不要で接続セキュリティを高めたい場合・キーペア管理を省略したい場合
EC2 Instance Connectマネジメントコンソールのブラウザからワンクリックで接続手軽に試したい場合・一時的な操作

近年はセキュリティ強化の観点から、SSHポートを開けずにSession Managerだけで接続する構成を採用するケースが増えています。SSHキーの管理コストが下がることも大きなメリットです。新規に環境を構築する場合は積極的に検討してみてください。

5-3. スケールアップとAuto Scaling

EC2でスペックを変更する方法は2種類あります。

スケールアップ(垂直スケール)とは、1台のインスタンスをより高スペックなタイプに変更することです。インスタンスを一度停止し、インスタンスタイプを変更してから再起動するだけで、数分以内に完了します。ただし停止が必要なため、ダウンタイムが発生します。

 Auto Scalingとは、EC2インスタンスの台数をCPU使用率などの指標に応じて自動で増減させる機能です(水平スケール)。「アクセスが急増したときだけサーバーを増やし、落ち着いたら減らす」という動作を自動で行えるため、手動対応のコストと過剰スペック分のコストを両方削減できます。ELB(Elastic Load Balancing:負荷分散サービス)と組み合わせることで、複数インスタンスへのアクセスを均等に分散させる高可用性な構成を組めます。

6. EC2の活用事例と最新動向

6-1. 代表的な4つの活用シーン

【Webサーバー・APIサーバー】

企業サイトやECサイトのホスティング、バックエンドAPIの実行環境として最も一般的な用途です。CloudFront(CDN)やELBと組み合わせることで、大規模トラフィックにも対応できます。コンテナ化が進んでいない既存のWebシステムをEC2上で動かしつつ、段階的にECSやLambdaへ移行するロードマップも現場でよく取られる戦略です。

【バッチ処理・データ分析】

夜間の大量データ集計や定期的なファイル変換処理など、決まった時間に集中して処理を行う用途です。処理時間が長く、コンテナ化されていない既存バッチシステムにはEC2が適しています。スポットインスタンスと組み合わせてコストを大幅に削減するケースも多くあります。

【開発・テスト・検証環境】

本番環境と同一構成の検証環境を手軽に立てられるのがEC2の強みです。本番と同じAMIで環境を再現することで、デプロイ前の最終確認の精度が上がります。夜間・週末は自動停止させるコスト管理を組み込みやすく、開発チームのAWSコスト削減の定番手法にもなっています。

【機械学習・AI推論】

GPU搭載のG/P系インスタンスを使うことで、機械学習モデルのトレーニングや推論処理をクラウド上で行えます。オンプレミスにGPUサーバーを購入・維持するよりも、「必要なときだけ使う」従量課金の方が費用対効果が高いケースが多く、特にスポットインスタンスとの組み合わせはトレーニングコスト削減に有効です。

6-2. 【最新動向】Graviton4・最新インスタンスの動向

AWSは自社開発ARMプロセッサ「Graviton」の開発を世代ごとに進めており、Graviton4搭載インスタンス(R8g、C8gなど)に加え、2026年時点では最新世代のGraviton5も登場しています。

Gravitonシリーズは世代を追うごとに性能を高めており、AWS公式によれば同クラスのx86系インスタンス(Intel/AMD)と比べてコストを最大20%削減でき、消費電力も最大60%少ないとされています。AWS公式もGravitonファミリーをコストパフォーマンスの面で推奨しており、ARM対応ソフトウェアが増加している現在、新規構築ではGravitonを選択肢の筆頭に検討する価値があります。(出典:AWS公式 AWS Graviton)

EC2の最新インスタンス情報は定期的に更新されます。本番導入の際には、AWS公式の「Amazon EC2インスタンスタイプ」ページで最新の世代・スペック・料金を必ず確認するようにしてください。

7. EC2に関するよくある質問(FAQ)

Q1. Amazon EC2とはひとことで言うと何ですか?

AWSが提供するクラウド上の仮想サーバーサービスです。物理的なサーバーを自分で用意せずに、ブラウザから数分で仮想マシン(インスタンス)を起動して使えます。OSや設定を自由に変更できるため、汎用性が高くAWSの中核サービスの一つです。

Q2. EC2の無料枠はありますか?

あります。ただしAWSの無料利用枠は2025年7月に大きく見直されました。2025年7月15日以降に新規作成したアカウントでは、従来の「12か月間・月750時間無料」ではなく、サインアップ時に最大200米ドル分のクレジット(登録時100米ドル+主要サービスの利用で最大100米ドル)が付与され、無料プランを最長6か月間利用できるモデルへ変更されています。2025年7月15日より前から利用しているアカウントには、従来の12か月無料枠が引き続き適用されます。制度・金額・対象・期間は変更される場合があるため、最新の条件はAWS公式の「AWS無料利用枠」ページで必ずご確認ください。(出典:AWS公式 AWS無料利用枠)

Q3. EC2のインスタンスタイプはどれを選べばいいですか?

「迷ったらM系(汎用)から始める」が基本です。WebサーバーにはM系かT系、バッチ処理・エンコードにはC系、大規模DBにはR系が目安です。本記事の「3つの質問で決まる選択フロー」(第3章)を参考にしてみてください。

Q4. EC2インスタンスを停止したのに料金が発生するのはなぜですか?

「停止(Stop)」状態でもEBSストレージの料金と、割り当て中のElastic IPアドレスの料金は引き続き発生します。完全にコストをゼロにしたい場合は「終了(Terminate)」でインスタンスを削除する必要があります。停止と終了の違いについては第4章をご参照ください。

Q5. EC2とLambdaはどう使い分けますか?

「サーバーをフルコントロールしたい」「長時間連続稼働が必要」な場合はEC2、「イベントが起きたときだけコードを実行したい」「インフラ管理を省きたい」場合はLambdaが適しています。Lambdaの実行時間上限(最大15分)を超えるような処理や、既存ソフトウェアをそのまま動かしたい場合はEC2を選ぶのが判断軸の一つです。

AWS Lambdaについて詳しくはこちら

AWS Lambdaとは?できること・料金・つまずき所まで現役AWSエンジニアが解説

2026.7.16

Q6. EC2の料金を安くするにはどうすればいいですか?

主な方法は3つです。①継続利用するインスタンスにはSavings PlansやリザーブドインスタンスでON-Demand比の割引を活用する、②開発環境は業務時間外に自動停止を設定する、③AWS Compute Optimizerの推奨に従って適切なサイズ・世代に見直す。詳しくは第4章の「EC2コストを抑える実践的なポイント」をご覧ください。

Q7. EC2は初心者でも使えますか?

AWSマネジメントコンソールのGUIから操作できるため、コマンドラインが苦手な方でもインスタンスの起動・停止は比較的容易に行えます。ただし、セキュリティグループやVPCの設定など、ネットワーク周りの基礎知識があると、より安全・効率的に使えます。まずは無料利用枠やサインアップ時のクレジットを使って小さなインスタンス(t3.microなど)を起動して、実際に接続してみることが最短の習得ルートです。

8. おわりに|Amazon EC2を使いこなすための第一歩

本記事のポイントをまとめます。

  • Amazon EC2とは、AWSが提供するクラウド上の仮想サーバー。OSからネットワークまでフルコントロールできる柔軟性が最大の強み
  • Lambda・ECSとの違いは「管理コストと自由度のトレードオフ」。フルコントロールが必要なときにEC2を選ぶ
  • インスタンスタイプは「シリーズ(用途)×世代×サイズ」で決まる。迷ったらM系かT系から始め、Gravitonでコスト最適化を目指す
  • 料金は停止中もEBSとElastic IPが課金される。「停止」と「終了(削除)」の違いを意識したコスト管理が重要
  • 料金プランは継続利用インスタンスにSavings Plansを活用し、バッチ処理などにはスポットインスタンスを組み合わせることでコストを大幅削減できる
  • Auto Scaling+ELBの構成でスケーラブルな高可用性環境を実現できる

まずは無料利用枠やクレジットの範囲で小さなインスタンスを一つ立ててみることが、EC2理解の一番の近道です。本記事を手元に、ご自身の用途に合った一台を見つけてみてください。

参考リンク

※いずれも2026年7月時点の情報です。料金・仕様・提供状況は改定される場合があるため、最新情報は各公式ページでご確認ください。

·      Amazon EC2(AWS公式)

·      Amazon EC2 インスタンスタイプ(AWS公式)

·      Amazon EC2 インスタンスタイプの命名規則(AWS公式ドキュメント)

·      Amazon EC2 の料金(AWS公式)

·      AWS Savings Plans(AWS公式)

·      Amazon EC2 スポットインスタンス(AWS公式)

·      パブリックIPv4アドレスの課金について(AWS公式ブログ)

·      AWS Graviton(AWS公式)

·      AWS 無料利用枠(AWS公式)

関連記事

Amazon VPC(Virtual Private Cloud)とは?現役AWSエンジニアが構成要素から設計まで徹底解説

2026.9.9

Amazon DynamoDBとは?現役AWSエンジニアが特徴・料金・テーブル設計をわかりやすく解説

2026.9.8

Amazon RDSとは?仕組み・特徴・料金・DBエンジンの選び方を現役AWSエンジニアが解説

2026.9.3

【現役AWSエンジニアが解説】Amazon CloudFrontとは?仕組み・料金・S3連携の使い方まで完全ガイド

2026.8.20

Amazon CloudWatchとは?現役AWSエンジニアが機能・料金・使い方を徹底解説

2026.8.18

AWS S3 ストレージクラス8種はどう選ぶ?料金で損しない使い分けを現役エンジニアが解説

2026.8.4

【2026年最新】AWS IAMとは?ユーザー・ロール・ポリシーの違いを現役AWSエンジニアがわかりやすく解説

2026.7.30

AWS Lambdaとは?できること・料金・つまずき所まで現役AWSエンジニアが解説

2026.7.16

【初心者向け】 Amazon ECSの基本概念をわかりやすく解説してみた

2025.1.14

【2026年最新】AWS資格一覧|全12種類の難易度・略称・受験料・取得順を徹底解説

2026.6.4

この記事を書いた人

著者近影

HIROTO

AWS基盤のインフラ設計・構築から維持運用、チームマネジメントなどを幅広く担当するインフラエンジニア。
オンプレからのAWS移行、マルチアカウント化、新規基盤の設計構築などの実績に加え、並行してセキュリティ領域のPJではPLを担当。2025 All AWS Certifications Engineers。 このライターの他の記事を見る

この記事をシェアする

採用情報RECRUITING Info.